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◆CO₂濃度気温反映シミュレータ

 CO2による吸収と気温

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◆CO₂ 吸収スペクトル・シミュレータ でCO2の吸収スペクトルのシミュレーションを行いました。

確かに太陽光は通し、地表からの輻射熱は吸収することを確認できました。
400ppmで十分に吸収スペクトル中心部の吸収率は飽和する上、濃度が高まると、飽和するスペクトル範囲が広がり、多くのエネルギーを吸収するようになります。

しかし気温にどう反映されるかはシミュレートしませんでした。

単純に地上からの輻射を空気が吸収し、その空気自体の温度による輻射と平衡状態になると仮定すると、濃度に関係なく、単純に地上から上空に向かっての温度傾斜が得られるだけの対して意味のないデータが得られると考えられます。

地表温度を固定とし、二酸化炭素以外の吸収がないものとし、対流もないとしたシミュレーションを一応行ってみました。
思った通りの単純データが得られました。

CO2による気温と実際の気温分布モデルを重ねた図を載せます。

 少しだけ現実に近づけてみました。

CO₂濃度変化が気温影響を与える最低限の物理要件を入れたシミュレーションを行ってみました。

取り入れる物理要件

  • CO2の吸収スペクトル(GEISAの線リスト:中心波数ν0、線強度S、空気衝突幅γなど)
  • ローレンツ線形状(圧力拡がり、296 K・1 atmの基準値を使用)
  • 多層カラム(スケール高さによる指数分布)と層ごとの光学的厚さの積み上げ
  • 層の自発放射(再放射)を等方・灰色体近似で加算
  • 地表の黒体放射(B(ν, Tsurf))
  • 乾燥断熱減率による鉛直温度プロファイル
  • 放射強制力の符号規約(強制力 = −ΔOLR、下向きを正)
  • プランク一次応答のみでの昇温評価(ΔT = ΔF / (4σTeff3))
  • 主帯域の選択(15 μm帯、約400–900 cm−1

次の結果が得られました

=== GEISA(CO2)× 純物理最小モデル(Lorentz/296K/1atm, 再放射込み)===
ファイル: geisa_2020_co2_3_30_19828.txt.gz
CO2: 基準 280.0 ppm → 目標 400.0 ppm, 参照地表温度 T0 = 288.0 K
注意:吸収+自発放射の簡易多層(散乱なし)。相対差を σT^4 にスケールして W/m² 換算。

[GEISA] 読込行数: 275660, ν範囲: 345.94–3333.32 cm^-1, S中央値 ~ 2.574e-29
[診断] OLR_base≈  390.105154 W/m², OLR_target≈  379.461883 W/m², ΔOLR= -10.643270 W/m²
放射強制力 ΔF(再放射込み/下向きを正):  10.643270 W/m²
地表昇温 ΔT(プランクのみ)        :  2.829976 K
新しい地表温度 T_surf              : 290.83 K (17.68 °C)

高度毎の大気温度(乾燥断熱近似)
 z=     0 m : T=290.83 K (17.68 °C)
 z=    10 m : T=290.73 K (17.58 °C)
 z=   100 m : T=289.85 K (16.70 °C)
 z=  1000 m : T=281.06 K (7.91 °C)
 z= 10000 m : T=193.15 K (-80.00 °C)

[地表温度] 290.83 K (17.68 °C)

=== GEISA(CO2)× 純物理最小モデル(Lorentz/296K/1atm, 再放射込み)===
ファイル: geisa_2020_co2_3_30_19828.txt.gz
CO2: 基準 280.0 ppm → 目標 800.0 ppm, 参照地表温度 T0 = 288.0 K
注意:吸収+自発放射の簡易多層(散乱なし)。相対差を σT^4 にスケールして W/m² 換算。

[GEISA] 読込行数: 275660, ν範囲: 345.94–3333.32 cm^-1, S中央値 ~ 2.574e-29
[診断] OLR_base≈  390.105154 W/m², OLR_target≈  359.477171 W/m², ΔOLR= -30.627983 W/m²
放射強制力 ΔF(再放射込み/下向きを正):  30.627983 W/m²
地表昇温 ΔT(プランクのみ)        :  8.143782 K
新しい地表温度 T_surf              : 296.14 K (22.99 °C)

高度毎の大気温度(乾燥断熱近似)
 z=     0 m : T=296.14 K (22.99 °C)
 z=    10 m : T=296.05 K (22.90 °C)
 z=   100 m : T=295.17 K (22.02 °C)
 z=  1000 m : T=286.38 K (13.23 °C)
 z= 10000 m : T=198.47 K (-74.68 °C)

[地表温度] 296.14 K (22.99 °C)

=== GEISA(CO2)× 純物理最小モデル(Lorentz/296K/1atm, 再放射込み)===
ファイル: geisa_2020_co2_3_30_19828.txt.gz
CO2: 基準 280.0 ppm → 目標 4000.0 ppm, 参照地表温度 T0 = 288.0 K
注意:吸収+自発放射の簡易多層(散乱なし)。相対差を σT^4 にスケールして W/m² 換算。

[GEISA] 読込行数: 275660, ν範囲: 345.94–3333.32 cm^-1, S中央値 ~ 2.574e-29
[診断] OLR_base≈  390.105154 W/m², OLR_target≈  313.996803 W/m², ΔOLR= -76.108351 W/m²
放射強制力 ΔF(再放射込み/下向きを正):  76.108351 W/m²
地表昇温 ΔT(プランクのみ)        :  20.236716 K
新しい地表温度 T_surf              : 308.24 K (35.09 °C)

高度毎の大気温度(乾燥断熱近似)
 z=     0 m : T=308.24 K (35.09 °C)
 z=    10 m : T=308.14 K (34.99 °C)
 z=   100 m : T=307.26 K (34.11 °C)
 z=  1000 m : T=298.47 K (25.32 °C)
 z= 10000 m : T=210.56 K (-62.59 °C)

[地表温度] 308.24 K (35.09 °C)
>python co2_templ4_sim.py 400

 さらに現実に近づけるには

次のような要件を入れるとさらに現実に近づけることができます。

他の要件

  • Voigt線形状(ドップラー拡がりと圧力拡がりの畳み込み)
  • 層ごとの圧力・温度依存:γ(P, T)、線強度S(T)、分配関数・下準位エネルギー・誘導放出補正
  • 線混合(line mixing)、遠翼の取り扱い、連続吸収(例:MT_CKD、CIA)
  • 他の温室効果ガス(H2O、O3、CH4、N2O など)とのスペクトル重なり
  • 雲・エアロゾル・散乱(長波・短波の散乱、雲の光学特性・雲頂高度・雲量)
  • 地表放射率の波数依存(ε(ν) < 1 を考慮)
  • 厳密な放射伝達スキーム(2ストリーム、δ-Eddington、DISORT等)
  • 成層圏調整(adjusted forcing:成層圏温度応答後の強制力)
  • 広帯域スペクトルの網羅(例:4.3 μm帯などを含む全赤外域の統合)
  • フィードバック(⽔蒸気、ラプスレート、雲、雪氷アルベド など)
  • 日射(短波)とエネルギーバランスの整合(入射・反射、緯度分布、熱容量による時間応答)
  • 非LTE効果(上部成層圏・中間圏)
  • CO2の高度・水平分布の変動や化学過程(現状は一定混合比・指数鉛直分布の近似)

ただし、

  • 雲・エアロゾル・散乱
など、正確に設定することの難しいパラメタも多くあります。

現在予測に使われるシミュレーションは基本的には、前項のような正確に定めることのできるパラメタだけでは成り立たず、パラメタは、現実の状況から逆に推定しているのです。

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