◇光行差はtan(Θ)でなくsin(Θ)
光行差と三角関数の復習
光行差はとても不思議な事に一般にtan(Θ)=v/c式で表されます。
◆光行差と波と粒子と特殊相対論 で雨粒の説明ではtan(Θ)=v/c式で良いとしても、光に適用するのは無理ということを書きました。ただ、そこでは「こうあるべき」という提示はしませんでした。
ごくごく単純に考えて冒頭の図に描いたようにsin(Θ)になるだろうという事で、今回記事にしました。
一応念のため三角関数の基礎の角度と、光行差の角度を三角関数の復習を兼ねて図にしました。
tanとsinのグラフも作成しました。
通常の三角関数の座標系と光行差角度の座標系は異なっているのでその変換をしました。
tanは光速の1/5位まではsinの近似となっています。
とはいえ特殊相対論の文脈で光行差を論じるには弱すぎると思います。
雨の中を走る例えでtanを使い、それが権威によって引き継がれ続けているのでしょうか?
sin(Θ)=v/cの垂直線長の求め方
三角関数
冒頭のsin(Θ)の図の右側垂直線の長さのcとの比(cos値)は次の要に求められます。
与えられた関係:
\[\sin(\Theta) = \frac{v}{c}\]
三角恒等式:
\[\sin^2(\Theta) + \cos^2(\Theta) = 1\]
\[\cos^2(\Theta) = 1 - \sin^2(\Theta)\]
導出:
\[ \sin^2(\Theta) = \left( \frac{v}{c} \right)^2 = \frac{v^2}{c^2} \]
\[ \cos^2(\Theta) = 1 - \frac{v^2}{c^2} \]
\[ \cos(\Theta) = \sqrt{1 - \frac{v^2}{c^2}} \]
このようにsin(Θ)=v/cからはごくごく単純にローレンツ因子が導かれます。
この図が直接ローレンツ変換を表す訳ではありませんが、ローレンツ因子の数学的位置づけは分かると思います。
三平方の定理(ピタゴラスの定理)
三角関数を使わず、c,vで高さ分hを出します。
底辺v,斜辺cとし高さhを求めます。
三平方の定理により
\[ {c^2}={v^2}+{h^2} \]
\[ {c^2}-{v^2}={h^2} \]
\[ {h^2}={c^2}-{v^2} \]
\[ h=\sqrt{{c^2}-{v^2}} \]
hとcの比h/cは
\[ \frac{h}{c}=\frac{\sqrt{{c^2}-{v^2}}}{c} \]
\[ \frac{h}{c}=\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}} \]
斜めからの光の光行差
ここまでは、進行方向に対し直行する光の方向の変化を見てきました。
斜めからの光の場合はどうでしょう
前準備;標準座標系ではcosになる
光行差での角度は数学で使う一般的な座標ではありません。
ここでは一般的な数学の座標(標準座標)、x軸から反時計周りで角度を定める方法を使います。
光行差座標系のsin(Θ)を標準座標で表すとcos(θ)となります。
斜めからの光
特殊相対論における光行差の公式は次のようになっています。
\[ \cos\theta' = \frac{\cos\theta + v/c}{1 + (v/c)\cos\theta} \]
\(\theta\) : 静止系での入光角 \(\theta'\) : 移動系での入光角
θを150度,120度(少し後方からの光),90度(真横からの光),60度(少し前方からの光),30度としvを0~cとしたグラフを示します。
移動系の入光角がv=0では静止系の入光角と等しく、vが大きくなるにつれ徐々に前方に傾き、v=cで0となることが確認できます。
静止系での入光角θと速度vを指定して、移動系での入光角θ'を見ることもできます。
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