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◆型命題階層ロジック(KPH)の基本

 前置き:記号論理学/述語論(一階述語論理)について

記号論理学では構造化した論理を表すことが極めて困難です。

例えば、「リンゴは皮が赤い」すなわち『「リンゴ」関し「皮に関し「赤い」」が成り立っている」が成り立っている』という単純な階層構造を表すことが極めて困難になっています。

chatGPTの回答は途中で変遷を繰り返し混乱を極めたものとなりました。

混乱の理由は

  • 論理値評価式の仕様が明確でない
  • 型/種(kind)が取り扱えない
  • 階層化した論理の階層間の制約が不明
  • 述語と関数が完璧に別とされながら表示法が同じ

ただし、それに関するchatGPTの説明,および周辺事項も混乱したものとなっています。

そんなこんなを経つつ、最後は次の表現い行きつきました。∃!は「ただ一つだけ存在する」という量化子です。

・RedSkin(x) ≡ ∃!y (SkinOf(y, x) ∧ Red(y))
・∀x (Apple(x) → RedSkin(x))
・∀x (Apple(x) → ∃!y (SkinOf(y, x) ∧ Red(y))
(この式はchatGPTが生成したものではなく、この式で良いかと聞くと良いと答えたものです)

そして、

✅ 結論:応用姿勢としての立ち位置

一階述語論理(FOL)は、「論理を形式化するのではなく、自然言語(英語)を記号的に形式化し演繹可能とするためのテクニック」であり、それを踏まえて学ぶ方が、FOLの制約・曖昧性・意図を的確に理解できます。
(なお論理学では自然言語とは英語のことであり日本語は自然言語の範疇には含まれません)

FOL(First-Order Logic)では 階層化された論理を直接 inline 展開することはできず、分解と命名を行い、その名による参照が必要となります。

という極めて「合点の行く(な~るほど、だから変なんだ)」結論が得られました。

以上前置きでした。

 Kind-based Proposition Hierarchy(KPH):型命題階層ロジック

次のような記法を定めます。

  • Q->P:真値拘束子(Truth Constraint Marker/TCM)
    「Qに対し命題Pが成り立つ」を意味し真の値を持つ
    true->Pと書けば無条件にPが成り立つ。
  • P<-Q:真値拘束子
    Q->Pと同等
    P<-trueと書けば無条件にPが成り立つ。
  • Q=>P:保留命題子(Deferred Constraint Marker/DCM)
    「Qに対し命題Pが成り立つ」を意味し、未評価状態を保つ
    これは命題として別の式で参照できる。真値拘束子の右辺として参照された場合、真値として拘束される。
    この時Qはこの命題に対し拘束を与える側に従属する。
    true->(Q=>P)および(Q=>P)<-trueによる真値拘束を行えば(Q->P)と同値となる。
  • P<=Q:保留命題子
    Q=>Pと同等

式は主体と真偽値を持ちます。主体は遅延評価に対し真値束縛を行う場合左辺に従属束縛を行うことに使用されます。

この2つの演算子は組み合わせることができます。このとき=>は->より強い結合をします。カッコを使い結合を明示することも許されます。

  • X->Y=>P:真値拘束子と保留命題子
    「Xに対し(Yに対しPが成り立つ)が成り立つ」(YはXに従属性を持つものとされる)
    この時Yはこの命題に対し拘束を与える側Xに従属する。
    象->鼻=>長い
    ー 象.鼻->長い [真値拘束により=>が->に変わり、従属拘束により鼻が象.鼻に変わる]
  • (X=>P)->(Y->Q):保留命題子による条件と真値拘束
    子保留命題子を用いた句は真値拘束の左辺に於くと条件句の機能を持つ。
    「XがP」なら「YはQ」である。
    X->Qは単体で真値を持つが、(X=>P)が偽の場合、評価されない。
    「Y->Q」は単独で真になる命題なので、XとYに従属関係は不要。このため、関連性がある場合はX,Yの指定自体に関連を持たせる必要がある。
    (太郎=>人間)->(太郎->死ぬ)
    太郎=>人間を真値拘束すると
    ー ((太郎=>人間)<-真)->(太郎->死ぬ)
    ーー (太郎->人間)->(太郎->死ぬ)
    ーーー 真/太郎->(太郎->死ぬ) [真/太郎だが拘束抜きで評価のみ行われる]
    ーーーー (太郎->死ぬ) となる。
  • (X=>P)->(Y=>Q):保留命題子による条件と保留命題子
    「XがP」なら「YがQ」である
    (YはXに従属性を持つものとされる)
    (太郎=>人間)->(寿命=>存在する)
    太郎->人間を真値拘束すると
    ー ((太郎=>人間)<-真)->(寿命=>有る)
    ーー (太郎->人間)->(寿命=>有る)
    ーーー 真/太郎->(寿命=>有る) [真/太郎の値で真値拘束と従属拘束を行う]
    ーーーー (太郎.寿命->有る)

ここでは基本となる表記のみ説明しました。原始命題の記述法、主体拘束マーク、範囲指定法を、次回以降に述べます。

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