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◆光速と加速と事象の地平面

加速力を持つ運搬機構により物質/光は事象の地平面の制限を超えることができる。

 事象の地平面の定義

随分以前の記事 ◇◆ブラックホールQ&Q、そしてさらに (2008/8/21) で「シュバルツシルト半径はあくまで無限遠から見た事象の地平に過ぎない」のではないかと書きました。

その後読んだ本(といっても一般の科学啓蒙書)でその様な記述を見つけることはできませんでした。

で、ついに、見つけました。

 BLUE BACKS
 宇宙検閲官仮説
 「裸の特異点」は隠されるか
     真貝 寿明

さすが、BLUE BACKSシリーズ

引用します。

 事象の地平面の定義

「外向きに放たれた光が無限遠方まで届かない時空の領域の最も外側の面」を事象の地平面(event horizon)という。

 ブラックホールの定義

事象の地平面の内側をブラックホール(black hole)という。すなわち「外向きに放たれた光が無限遠方まで届かない時空の領域」である。

つまり、光はあくまで無限遠に届かないだけで、地平面近傍には出られるのです。

しかし、なぜか直ぐ後で次のように書かれています。

事象の地平面の内側からは、どんな光も物質も外側には出られません。

えーっ!?定義では「無限遠方まで届かない」って言ったばかりじゃん!近傍になら届くって事でしょ。
さすがBLUE BACKS突っ込みどころ満載

 物体を光速以下の加速体で地平線の外に運んで投げる

事象の地平面の内側A地点から石を投げても絶対に無限遠には届きません。
しかし、地平面の外B地点に到達させることはできます。ただ無限遠方に到達は出来ず途中で引き戻されます。
地平面の外B地点からであれば無限遠方に石を投げることができます。

ロケットで光速以下で事象の地平線を超えることができます。
石をロケットで地平面内A地点から地平面外B地点まで運んで投げると無限遠方に投げることができます。

 光を光速以下の加速体で地平線の外に運んで投げる

事象の地平面の内側A地点から光を発しても絶対に無限遠には届きません。
しかし、地平面の外B地点に到達させることはできます。ただ無限遠方に到達は出来ず途中で消えますす。
地平面の外B地点からであれば無限遠方に光を送ることができます。

ロケットで光速以下で事象の地平線を超えることができます。
光を鏡で作られた容器で地平面内A地点から地平面外B地点まで運んで投げると無限遠方に送ることができます。

 発光地点(A)経由地点(B),Bで発光との違い

さて、ここで大きな疑問が発生します。

石をA地点で投げてB地点に到達した時、物体の速度はB地点での脱出速度に達しません。そのため、無限遠に送ることはできません。

B地点での脱出速度は光速以下なので、あらためてB地点で投げれば無限遠に送ることができます。

光の場合はどうでしょう?
A地点で発生した光は光速で移動しますが、B地点に達した時点でも光速のままです。

B地点で発生した光が無限遠に送ることができるなら、A地点で発生してB地点に到達した光でも速度は同じなので同様に無限遠に達すると考えられないでしょうか?

実は、地平面の内側Aから放たれた光は地平面の外Bに出たとしても、エネルギーを失って、無限遠に到達する前に消滅する程度まで周波数が下がっているのです。Bで新たに発する光は十分なエネルギーで送り出されます。
石の場合速度が十分かどうか問題ですが光の場合エネギー(周波数/波長)が十分かどうかが問題なのです。

重力場から脱出できるかどうかは脱出速度というより脱出エネルギーという方が適切かも知れません。
投げ放った石や光はエネルギーはどんどん失われます。しかし、重力場に逆らう運搬機構があれば、光にさえエネルギーが追加されると同時に、脱出に必要なエネルギー値が低い位置に移動できます。

 さらなる疑問

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