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◆「ワルターの運命」専用イヤフォン:SEN. TW3

 通信機能を持つワイヤレスイヤフォン

最近電話をしながらパソコン作業をすることが増えています。

そんな時役に立つのが通信機能を持つワイヤレスイヤフォン。

3台所有しているのですが、「Technics EAH-AZ60」以外がどうにも不安定で、予備の一台を欲しいと思っていました。

非接触充電ができることと、イヤフォンのタッチ操作の柔軟性から「Sennheiser MOMENTUM True Wireless 3(以下「Sennheiser MTW3」)」を選択しました。
音に関しては、「Sennheiser Momentum 3 Wireless」ヘッドフォンが酷かったので少し心配していました。
(酷い音というよりiPhone/ACCの低品質音源用にチューニングされたもの)

冒頭の写真は左が「Sennheiser MTW3」右が「Technics EAH-AZ60」です。
ケースのストラップは購入後細工したものです。

 音、ワルターの運命は最高

音は、古い録音をバランスよく聞かせるものです。

残念ながら最新のハイレゾ音源のものは、あまり良い音とはなりません。

とても古い録音「ワルターの運命+未完成」(44.1KHZ 736KBPS ALAC)などは、他のヘッドフォンなどで聴くと変な音で、高域は伸びておらず、低域はガリガリとした音となっています。
ヘッドフォン/イヤフォンでは聴けたものではないと、「運命」を再生するためだけに、小さなモノラルのスピーカを買ってスマホにつないだりもしました。
ところが、「Sennheiser MTW3」で聴くと、低域のガリガリ感がなくなり、高域も伸びてはいないものの自然な音となります。
この不自然な録音をこれほど滑らかに再生するスピーカ、ヘッドフォン、イヤフォンに出会ったことがありません。感覚としては、「ワルターの運命」専用にチューニングされているかのようです。
音が酷いため廃棄処分した「Sennheiser Momentum 3 Wireless」ヘッドフォンもひょっとしたら「ワルターの運命」は良い音で再生できたのかも知れません。

同じく古い録音である「カラヤン'62の第九」(24BIT 96KHZ 2786KBPS FLAG)も自然なバランスとなり、とても気持ちよく聴けます。
「Technics EAH-AZ60」より記憶の音に近いものです。
特に1楽章の前半は「聞いていたのはこれだ!」という感じです。3楽章も記憶の中の音のバランスとなり感動ものです。 4楽章は歌声がコーラス、ソロとも明瞭に聞こえます。

ZIMERMAN/Rattle/Londonによるベートーベンビアノ協奏曲全集(24BIT 96KHZ 3549 KBPS FLAC)は最新のハイレゾのとてもすぐれた録音です。
豊かな響きで「Technics EAH-AZ60」や「SONY WH-1000XM5」,「SONY MDR-Z7M2(有線)]などではとても気持ちよく音楽に浸ることができます。
ところが、「Sennheiser MTW3」では固い痩せた響きとなります。ピアノの音もとがった嫌な音になります。長くは聞いていられません。
オーケストラとピアノという再生の難しい音源であり、低品質音源を心地よく聴かせる事に特化した「Sennheiser MTW3」にとって、とても難しいものなのでしょう。

ハイレゾでは例えばスラットキン/リヨンによる「ベルリオーズ 幻想交響曲 2楽章」のハープなどの定位感は見事ですが、そこにあるハズの低弦の強い音が消え入るような感じとなります。
左右の分離に比べ前後の奥行き感はあまり出ません。ハイレゾはチューニング対象としていないのかも知れません。

ハイレゾのクルレンツィス/ムジカエテルナによる「チャイコフスキー 交響曲6番」も微妙にバランスが悪く音の伸びがないように感じます。
低域も弱く、周波数レンジの広い録音の場合、バランスよく再現できないのかもしれません。
実は途中急に低音が完全に消えることがあり、ひょっとしたらノイズキャンセリングアルゴリズムが誤反応して音楽の低音を消しているのではと疑っています。

挙げればきりがないのですが、ネルソンのベートーベン交響曲全集、ペライアのバッハ・フランス組曲などもよく聴いており、イヤフォン購入直後の調整用にも用いています。
これも「Technics EAH-AZ60」が極めて素直で伸びやかな音に聞こえます。

  

「Sennheiser MTW3」では聴きやすく、「Technics EAH-AZ60」では余り良い音でない録音が存在するのは 「Technics EAH-AZ60」はチューニングを施すということを行わず、可能な限り忠実な再現を目指しているため、低品質音源ではアラを目立たせているのだと思います。

ただし、「Sennheiser MTW3」は同じ低品質音源をターゲットとしているとは言え「Sennheiser Momentum 3 Wireless」ヘッドフォンで耳につく、まるで耳に手をあてて聴いているような微妙な残響感がハイレゾの邪魔をするということはありません。

 イヤピース

残念ながら付属のイヤピースではスカスカの音しか出ず、無理やりねじり込んで聞いていたところ、耳が痒くてたまらなくなりました。

SONY WF-1000XM4も付属のイヤピースでは密閉度が得られず、試しにつけたVictor HA-FW1000T付属イヤピース(スパイラルドット)だと密閉できたので、同等製品Victorイヤピースス「スパイラルドットドット++」を付けました。
COMPLYも試しましたが、ひと月程で密閉度が下がりました。その他透明シリコン系のものを試しましたが、音がキンキンするうえ、歩くとガサゴソ不快な音が出るため採用しませんでした。

「Sennheiser MTW3」にスパイラルドットドットを付けたところ、より深い低域が出て、かつ締りのある音になりました。ノイズキャンセリング効果も高まりました。

当初、本当に「運命専用イヤフォン」にするしかないかと思っていました。イヤピース交換で普段使ってもよいかなというレベルにはなりました。

  

 通信・オーディオ設定

スマホはXperia Pro-Iです。
音楽アプリはPowerAmpです。
参考:◇Xperiaでハイレゾ再生-PowerAmp (記事はXperia 10iiですが操作に大きな差はありません)

音が今一つなので、ひょっとしたら設定ミスかもと思い確認した画面を載せます。
PowerAmpの「出力デバイス」がaptX adaptiveでなくLDACとなっているのが少し気になりますが、表記がaptXに対応していないだけだと思います(信じます)

 使い勝手、タッチ操作

タッチ操作は細かく変更できます。
このあたりは自由な設定のできないSONY WF-1000XM4やそもそも設定できないVictor HA-FW1000Tより優れています。

「Technics EAH-AZ60」と揃えたかったのです、設定できるものが異なるため同じには出来ませんでした。
下図は左が「Sennheiser MTW3」右が「Technics EAH-AZ60」です。

基本は「左はー、右は+」「小さな操作:小さな動作」としたく、1回タッチを音量の上げ、下げにしたいのですが、sennheiserではできません。
音量は長押しにしか設定できないのです。
少し位置を調整しようとして、間違って1タッチしてしまうことはあります。その時、もっとも被害の少ないのは音量の上げ下げです。音楽が途切れたり、次の曲にジャンプしたりといった大ごとになりません。

 追記;廃棄決定

昔、iPod/boseの頃は、電車の中で聴いていても30分程が限度で、すぐ耳から外していました。
ヘッドフォン/イヤフォンで長々と聞けるようになったのは、SONYのWI-1000からです。

「Sennheiser MTW3」ですが20分くらいで耳から外してしまいました。
嫌な音ではないのに、聴き続けていたい感じにならないのです。
古い音源を懐かしく聞く分には1時間以上聴けるのですが、なんとなく聴いていると、聴き続けることができません。

テラークのカンゼル/シンシナティ―の映画音楽を聴いている時、なんと!iPodで操作している記憶がよみがえってきました。
この音源を昔聴いてた頃はハイレゾもなくAAC圧縮の酷い音で、今はALACに置き換えています。今「Technics EAH-AZ60」で聴いていてiPodを思い出すことはありません。
頭では「Sennheiser MTW3」を最新のいい音だとして聴いているのに、無意識下では昔のiPod/boseの音に分類され、当時の記憶が蘇ったのだと思います。

ワルター、カラヤンの楽曲に引き込まれたのも、つまりは、古臭い懐かしい音だったからです。

このイヤフォン、要らないかも、と思っていたところ、電話がかかってきました。
で、出たのですが、通じないのです。音楽は止まりましたが、声は通じません。
向こうの声は聞こえませんし、あとで確認するとこちらの声も聞こえなかったようです。

購入して1週間も経っていないのですが廃棄決定。音が悪いのはともかく通話失敗はダメです。安心して使うことができません。

 追追記;廃棄は考え直す

ワルター、カラヤンだけでなく、ビートルズやカーペンターズも悪くない。

 ホールかレコードか

ハイレゾ音源の場合、聴いているうちに

  • 「Technics EAH-AZ60」はコンサートホールにいる気分
  • 「Sennheiser MTW3」はレコードを聴いている気分
になります。

音に集中して聞き分けようとするのではなく、ふとそういう気分になるのです。

このレコードを聴いている気分の説明はちょっと難しいのですが、これにもし、プチッというノイズでも入ろうものなら、完全に過去へタイムスリップしそうな感じです。

 長く聴いていられないのは音が良いということか

やはり、「Sennheiser MTW3」では長く聴いていられません。

「Sennheiser Momentum 3 Wireless」ヘッドフォンのように余計な音がまとわりついている嫌な感じがある訳でもないし、低音が足りないとか、高音が落ちているとかといった感じもないのに、曲の途中で外したくなります。
(同ヘッドフォンのまとわりつく音はAAC圧縮にからむジュワジュワしたまとわりつきを聴感上打ち消す作用はあります)

ひょっとしたらなまじ音が良いので「音楽」が頭に強く入ってきて「疲れる」のかもしれません。

捨てるのはもったいないけど、当初もくろんでいた使い方には適さない装置だったようです。
「Technics EAH-AZ60」をもう一台買うのが正解だったかもしれません。(まあ、それはやりませんけど)

 音楽が不快になる

「Technics EAH-AZ60」や「SONY HW-1000xm4」などをつけて、音楽を聴きながら散歩した後は、部屋でもステレオを鳴らしたりします。

しかし、「Sennheiser MTW3」をつけて散歩し途中で嫌になった後は部屋で音楽を聴く気になりません。

どうも僕にとって「Sennheiser MTW3」は音楽を嫌いにするイヤフォンのようです。やっぱり廃棄ですね。

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