◆配札済みカードセットの観測と量子値の表出
スピンの観測値と量子状態
スピンを持たない粒子が2個のスピンを持つ粒子に分かれた場合、同一方向で2個の粒子を観測すると、片方がupなら片方はdownという値となります。
2個の粒子のスピンをそれぞれ異なる方向で観測すると方向差があるため単純なupとdownの組み合わせとはならず複雑な確率で値が表出します。
本、「粒子分裂時カードセットペア配布と観測による値表出モデル」ではこれら現象の確率モデルを与えます。
観測により遠隔地にある粒子の物理状態が同時に変わるという仮定を必要としません。
カードセットと観測による表出値
1~8のカードがあったとします。
これを値の連続した4枚のカードセットに分けます。
8の次は1だとします。
2つのカードセットがペアになります。
次の組み合わせとなります。
- カードセット1-1 : 1,2,3,4
- カードセット1-2 : 5,6,7,8
- カードセット2-1 : 2,3,4,5
- カードセット2-2 : 6,7,8,1
- カードセット3-1 : 3,4,5,6
- カードセット3-2 : 7,8,1,2
- カードセット4-1 : 4,5,6,7
- カードセット4-2 : 8,1,2,3
このカードセットが量子状態です。
観測するというのはこの中の一枚を選び、表出させることです。
値が1~4ならup、5~8ならdownが表出するとします。
カードセットはランダムに選ばれ予め分配されますが、その中の何枚目を観測するかは任意です。
この"何枚目"を観測するかが"どの方向"で観測するかに相当します。
どのカードセットを受け取ったかは分からないまま、3番目のカードを観測・表出させるとupになったとします。
この時ありうるカードセットは1-1,2-1,3-2,4-2です。
従ってペアとなるカードセットは1-2,2-2,3-1,4-1です。
これらのペアカードセットの3番目を観測・表出させると(7,8,5,6)で何れもdownとなります。
これらのカードセットではどのカードを観測・表出させたとしてもペアのカードセットで同じ角度で観測すると、常にupならdown,downならupという値が表出します。
- カードセット1-1 : 1,2,3,4 可能性のあるセット
- カードセット1-2 : 5,6,7,8 対粒子の同じ方向観測
- カードセット2-1 : 2,3,4,5 可能性のあるセット
- カードセット2-2 : 6,7,8,1 対粒子の同じ方向観測
- カードセット3-2 : 7,8,1,2 可能性のあるセット
- カードセット3-1 : 3,4,5,6 対粒子の同じ方向観測
- カードセット4-2 : 8,1,2,3 可能性のあるセット
- カードセット4-1 : 4,5,6,7 対粒子の同じ方向観測
異なる角度で観測する
2つの粒子のスピンを異なる角度で観測することを考えてみます。
異なる角度で観測するということは、このモデルでは異なるn番目の表出を得ることです。 4個で1周しますので、1個前後させると45°相当、2個移動する90°相当です。
前項と同じく3番でupを得たとして、 ペアとなるカードセット1-2,2-2,3-1,4-1の1番目で表出するのは、5:down、6:down,3:up,4:upとなります。
- カードセット1-1 : 1,2,3,4 可能性のあるセット
- カードセット1-2 : 5,6,7,8 対粒子の90°方向観測
- カードセット2-1 : 2,3,4,5 可能性のあるセット
- カードセット2-2 : 6,7,8,1 対粒子の90°方向観測
- カードセット3-2 : 7,8,1,2 可能性のあるセット
- カードセット3-1 : 3,4,5,6 対粒子の90°方向観測
- カードセット4-2 : 8,1,2,3 可能性のあるセット
- カードセット4-1 : 4,5,6,7 対粒子の90°方向観測
つまり、90°方向の値はup/downとも1/2の確率となり、何も定まらないということになります。
+45°ではどうでしょう?
ペアとなるカードセット1-2,2-2,3-1,4-1の4番を観測すると、8:down,1:up,6:down,7:downとなり、downの確率が高くなります。
- カードセット1-1 : 1,2,3,4 可能性のあるセット
- カードセット1-2 : 5,6,7,8 対粒子の+45°方向観測
- カードセット2-1 : 2,3,4,5 可能性のあるセット
- カードセット2-2 : 6,7,8,1 対粒子の+45°方向観測
- カードセット3-2 : 7,8,1,2 可能性のあるセット
- カードセット3-1 : 3,4,5,6 対粒子の+45°方向観測
- カードセット4-2 : 8,1,2,3 可能性のあるセット
- カードセット4-1 : 4,5,6,7 対粒子の+45°方向観測
示したのは片方でupだけを得たとしての確率であり、実際の粒子の分裂では 半分の確率でdownのカードセットとなるので、観測を繰り返すと、次の確率との合成となります。
- カードセット1-2 : 5,6,7,8 可能性のあるセット
- カードセット1-1 : 1,2,3,4 対粒子の+45°方向観測
- カードセット2-2 : 6,7,8,1 可能性のあるセット
- カードセット2-1 : 2,3,4,5 対粒子の+45°方向観測
- カードセット3-1 : 3,4,5,6 可能性のあるセット
- カードセット3-2 : 7,8,1,2 対粒子の+45°方向観測
- カードセット4-1 : 4,5,6,7 可能性のあるセット
- カードセット4-2 : 8,1,2,3 対粒子の+45°方向観測
-45°ではどうでしょう?
ペアとなるカードセット1-2,2-2,3-1,4-1の2番を観測すると、6:down,7:down,4:up,5:downとなり、こちらもdownの確率が高くなります。
- カードセット1-1 : 1,2,3,4 可能性のあるセット
- カードセット1-2 : 5,6,7,8 対粒子の-45°方向観測
- カードセット2-1 : 2,3,4,5 可能性のあるセット
- カードセット2-2 : 6,7,8,1 対粒子の-45°方向観測
- カードセット3-2 : 7,8,1,2 可能性のあるセット
- カードセット3-1 : 3,4,5,6 対粒子の-45°方向観測
- カードセット4-2 : 8,1,2,3 可能性のあるセット
- カードセット4-1 : 4,5,6,7 対粒子の-45°方向観測
観測することにより表出値は決まるが。
表出値がupになるかdownになるかは観測するまで分かりません。
量子状態が同じであっても、観測の方向(このモデルでは何枚目を選ぶか)によってup/downは変わります。
観測の仕方は任意であり、最終的に表出する値は、最初から決まっている訳ではありません。
しかしどのように観測すればどの値が表出するかは、最初のカードセット配り時に決定されているのです。
観測は「予め決まっていることの中での選択」に過ぎません。
補足
カードに数値が書いてある形で説明を進めましたが、例えば次のように観測方向に対する表出値の並びもあります。
- カードセット1-1 : ●,●,●,●
- カードセット1-2 : ●,●,●,●
- カードセット2-1 : ●,●,●,●
- カードセット2-2 : ●,●,●,●
- カードセット3-1 : ●,●,●,●
- カードセット3-2 : ●,●,●,●
- カードセット4-1 : ●,●,●,●
- カードセット4-2 : ●,●,●,●
単純化のために各カードごとに100%で値が定まっているとしていますが、確率化されたものである可能性も十分ありえます。 もちろんその場合でも片方の観測がもう片方に影響を与えることはありません。
補足-2 観測方向と角運動量の保存
粒子が分裂した場合、元の粒子の角運動量が「保存」され、分裂後の2個の角運動量を合わせると、元の粒子の角運動量と等しくなるとされます。
分裂後の粒子を同じ角度で観測する場合は正しいといえます。
しかし、異なる角度で観測する場合に関しては殆ど触れられることがありません。
二つの粒子を90°異なる角度で観測すると、角運動量の保存は確認することはできません。
同一方向で観測すると「反対方向が100%(即ち角運動量が保存)」となり、角度が90°では「反対方向がが50%(即ち完全なランダム)」となり、中間では「中間の確率」となります。
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