◆量子もつれと、多相カード配り
観測する前から決まっている訳ではないと言うが
スピン0の粒子が2つの分裂した時、片方が上向きスピンを持てばもう片方は下向きスピンを持つことになります。
この分裂した粒子をA,Bとします。
Aを観測して上向きスピンを持てば、Bがその時点でどれだけ遠くにいても下向きスピンを持つことが決定します。
このような粒子を「量子もつれ状態にある」と言います。
そしてこれをもって、量子もつれ論者は、片方の観測がもう片方の量子状態に影響を与えたと強弁します。
素人目には単に最初の分裂時にAが上向き、Bが下向きになったと見えます。
「観測者はそれを"知らない"し"知りようもない"だけ」だと素人は考えます。
これに対し量子もつれ信者は「Aの向きは最初から決まっているのではなく、観測して初めて決まるのだ」と主張します。 「Aは観測するまでどちらの向きとも言えない状態にあるのだ」と。
しかし、Aがそのような不定の状態にあることの証拠、論拠を量子もつれ論者が示すことはありません。
もしAの観測前にBを観測したらAの状態は決まります。
しかし、A側の観測者はBで観測済みであることを知りません。
つまり観測者はAの状態が既に確定しているということを「知らない」だけなのです。
知ることはできません。
相変わらずAは不定の状態を採り続けます。
Bの観測を分裂の限りなく初期に行ったとすればAの状態は限りなく初期から定まっている事になります。
つまり、「状態が最初から決まっている訳ではない」というのには何の根拠もないのです。
観測することにより初めて状態が定まると見做すのは正しくありません。
観測して初めて決まること
観測の向きは観測する時に任意に決められます。
予め定まっているのは、どの向きで観測すると、上となるか下となるかです。(※)
全ての方向関する予定値を持ったものとなります。
例えば、「垂直方向で観測すると上」「水平方向で観測すると左」といったことが定められています。
粒子が分裂するとき、2つの粒子にはそれぞれペアとなる形で状態が割り当てられます。
この時、例えばAで垂直方向の観測をして上となると、仮にどの状態ペアであったとしても、Bで垂直方向の観測をすると下になります。
しかしBで水平方向で観測すると得られる値は定まりません。ペアは分裂時に決まりますが、どのペアになったかは全く分からないからです。
分裂した2つの粒子の関係はこのようなものであり、決して片方を観測したことによりもう片方の状態が変わったりはしないのです。
めくり方により見え方の変わるカードを配ったようなものです。カードはめくり方(観測方向)により値が変わるとはいえ、予め配られたものです。
量子もつれ論はこのカード配り統計の認識の完璧な欠如に基づくものです。
(※)
話を単純化するため、向き毎に100%の確率で上か下かが決まっているとしましたが、 実際は100%に近いとはいえ、この方向を観測すれば99%上で1%下といったように確率的に決まっているんじゃないかなあと思っています。
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