♪「新世界より」の冒頭の休みの長さの記憶
「新世界より」の1楽章冒頭の休みの長さ
音楽というのは最初に聞いたものがどうしても「標準」として頭に残ってしまいます。
ドボルザークの交響曲第9番「新世界より」の冒頭で第4小節のホルンの後、第6小節の 木管の出るタイミングを、本来の楽譜での指定より2拍早く記憶しているのです。(1小節4拍として)
少し単純化し、リズムガイドを加えた演奏と楽譜を示します。
記憶の中の演奏
本来の楽譜通りの演奏
最近カラヤンの古い演奏のCDを購入し 「あ、カラヤンの演奏がこびりついていたんだ」と気づきました。
1977年の録音でモルダウとのカップリングとなっているCDです。
昔聴いていた演奏は1977年より前のもののはずですが、おそらく同じように 拍を省略した演奏だったんだと思います。
### 2013/11/13
アメリカで音楽・映画関係の大学に勤めている友人から連絡があり、
1964年録音のものも休みが短いとのことでした。
ネットで試聴できるとのこと。確かに短くなっています。
Gramophon classical music
波形グラフで検証
カラヤンの1977年版とノイマン/チェコフィルの盤の音を解析してみました。


ぼぼぴったり2拍分短くなっています。
ただし、ホルンの出が速いことなどから、4、5小節は速度を速めているだけで、
拍は保っているとみなすこともできます。カラヤンとしては5小節目が間延び
する感じを防ぎたいのだけれど、作曲家の指定を無視もできないので、
速度を変えて、2拍分稼いだということかも知れません。ホルンの後ろの休み
が殆どないことから見ても、基本的には先頭の楽譜風の演奏にしようと
したことは間違いないでしょう。
ノイマンの演奏も4,5小節は微妙に速度を増しています。しかし、露骨に
休みを短くしている訳ではありません。
色々な演奏
気になってカラヤン/ウィーンの1985年録音盤も購入しました。
色々、手持ちのものを聴き比べて見ると、
カラヤン/ベルリンフィル(1977録) 2拍短い カラヤン/ウィーンフィル(1985録) 1拍短い ノイマン/チェコフィル 楽譜通り コンドラシン/ロイヤルフィル 楽譜通り(なんと提示部繰り返し) リボア/リバプール 楽譜通り レバイン/ドレスデン (ホルンが1/2拍早く入る)
という感じです。手持ちのものではカラヤンだけが休みが短い。
僕の場合はカラヤンの演奏を先に聴いていて、ノイマンを後で聞いたので カラヤンの演奏の方が自然に思えるのですが、ノイマンや他の演奏家の 演奏を先に聴いて、後でカラヤンの独自の演奏を聴くと変だと思うでしょうかね?
雑談
♪=0.000347 一拍二日
(♪=60 一拍一秒,♪=1 一拍一分)
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