◆光の特異点:光の波のQ&Q
広がる光波の立体モデルは?
疑問を感じながらも、そのままにしてある事柄はいくつもあります。
その中の一つ。
光の波が球面状に広がる場合の、光の進行方向と直行する電場変化ベクトルの、球面上での並びです。

一般に説明で見られる光の波の図は右のような形です。
光は一本の線でしかありません。
実際には光は面で広がっていくはずです。しかし、そのような図を見たことはありません。
もちろん、図にするのが難しいことは分かりますが、あるべきものです。
平面を円形に広がる光の図

まず2次元での光の広がりを考えてみましょう。
右の図は平面上を円形に広がる光を表しています。
電場変異ベクトル(細い矢印)は光の進行方向に対し垂直であり、
ここでは平面上で円周をぐるりと回っています。
もちろん電場変異ベクトルは平面上にある必要はなく、例えば、画面から こちら向きであっても構いません。
なお、ベクトルは電場の変化分であって電場ベクトルではありません。 電場ベクトルは中心から回りに向かっているかも知れませんし、 例えば画面全体に左から右に向かっているかも知れません。
3次元空間を球形に広がる光の図

右の図は球形に広がる光と、電場変異ベクトルを表しています。
ここでは、ベクトルは緯度面を円状に一周しています。
この形である必要はなく、この図の経度方向に向きが変わっても構いません。
しかし各ベクトルは途中で急に途切れたり、折れたりすることはなく、滑らかにつながります。
この図の北極点、南極点ではベクトルはどうなっているでしょう?
球面上の流れは必ず特異点を作る
各点のベクトルが滑らかにつながるということは、図形上"流れ"を形成します。
そして、球面上の流れには必ず特異点が出現します。
前の図の北極点、南極点のようなものが、流れをどのように変更しても現れるのです。
球面の法線方向は光の向きですので、ベクトルは必ずそれと直交し、球面上に張り付いています。球面外に ベクトルを向け特異点を避けるといったことは出来ません。
つまり光波は、もし球状に広がるなら、必ず特異点を持つはずです。
マックスウェルの電磁波の方程式には特異点を持たずに球面状に広がる解は無いのです。
光が球面状に広がるのは無数の解の重ね合わせの結果なのです。
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補助記事を◆光の進行方向の電場の揺れ:光の波のQ&Qに置きました。
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