◇「鳥肌が立った」と「身の毛もよだつ」
「鳥肌が立つ」と「身の毛もよだつ」
「鳥肌が立つ」という言葉があります。
寒いときや、良し悪しどちらでも心が強く動いたときに、鳥肌が立ちます。
寒いときは毛を立てて保温効果を上げるための機構の名残でしょうし、 心が強く動いた時は敵に対する威嚇などの機構の名残でしょう。
これは現実的に毛が逆立つということではなく、"毛が逆立つ程の不快な状況 が推定される"場合に使われます。
この表現では「も」が重要です。
「も」は追加格であり、「身の毛」以外の状態が基本としてあることを示します。
つまり、表しているのは程度の高さ「X+...+身の毛」なのです。
「鳥肌が立つ」と「鳥肌が立った」
通常「鳥肌が立つ」という表現は余り行われず、実際に鳥肌が立った状況に際し 「鳥肌が立った」と言います。
まさに「事実」の表明です。
「鳥肌が立つ」という言い方は使われるでしょうか?
論理的には何の問題もありませんが、もし単純に使うとすれば「身の毛もよだつ」に近い 「不快な状況の推定」の意味合いになると考えられます。
事実の表明として「鳥肌が立つほど感動した」などはありえます。
「身の毛もよだった」という使われ方は通常ありません。
これは事実の直接表現ではないからでしょう。
感動して「鳥肌が立った」というのは正しい日本語です。
「身の毛もよだつ」との混乱からか、事実の表明としての「鳥肌が立った」を 間違っていると指摘する国語学者もいますが、「鳥肌が立った」事実 を「鳥肌が立った」と言うことは正しい表現です。
「鳥肌がたった」という事実を他に何と表現しろというのでしょう?
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