◆自転の向きはなぜ公転と同じになるか
自転の向きと公転の向きはなぜ一緒になるか
惑星の自転の向きは通常公転の向きと同じです。衛星も同じです。
なぜ自転の向きは公転の向きと同じになるのでしょう?
「公転の角運動量が自転に移動するから」との説明もありますが それは現象論であって、物理、力学の「説明」とは言えません。
単純に考えると逆向きになるような。。

沢山の粒子が円軌道で公転している場合を考えます。
各粒子と主星の重心のみ考えると、各粒子は主星に近い内側のもの程高速になります。
外側ほど長距離を動くので回転が遅いということではなく、速度そのものが外側ほど遅いのです。

一般に速度の異なる空間が並行に並ぶとそこに回転が発生します。
この回転は公転の向きとは逆になります。
しかし、この回転が実際に物体の回転となるのは、流体のような 多数の粒子間に接触による 力の伝搬がある場合であって、密度が比較的疎で重力による力しか 及んでいない場合には当てはまらないと考えられます。
2つの質点が伸び縮みしない棒で繋がっているモデル

単純化のため、2つ質点が伸び縮みしない棒で繋がっているモデルを考えます。 棒は質量を持たないとします。
低軌道を行く質点は高軌道を行く質点より高速であるため、棒を押す形になり 速度が落ちます。高軌道を行く質点は低軌道の質点に押される形で加速されます。
単純な静止状態で片方に力を加えると重心を中心に回転する動きとなります。 しかし、ここで示す軌道上の2点ではそのようにはなりません (正確にはきちんと計算で出す必要はあります)。 ともあれ、2点に加わる力は高軌道では速くなる方向、低軌道では遅くなる 方向であることは間違いありません。

位置が少し変わっても同じく、高軌道では速くなる方向、低軌道では遅くなる 方向となります。
高軌道側は速く、低軌道側は遅くなる力が働き続けることにより、公転と同じ向きの 回転が起こります。

自転がないまま重心が円軌道を描くように公転することはあり得ません。
この手の問題では重心幻想に陥らないように注意することが必要です。
「全体をまとめて一つの質点とみなすことができ。。。」というトンデモナイ 簡略化で計算が大きく間違った方向に進むことも良く見られることです。
星は
先の例では2つの質点で考えましたが、普通に質量の分布した球体であっても 同じ考えが適用できます。
高軌道側の質量分布が低軌道側の質量分布により加速され回転します。
このようにして、衝突などの大きな事件が発生しないかぎり、通常 惑星、衛星の自転方向は公転と同じになるのです。
外側が速くなる。星の集団でも起こるか。(余談:妄想)
自転の向きが公転の向きと同じになるということは、一般的に、外側が 加速される傾向を持つということです。
これは、単体としてまとまった天体のみならず、複数の星の集合でも、
ここで述べたメカニズムとは異なるとはいえ、
ありうるのではと考えています。
銀河のような星の集団では外側の星の動きは単純な計算で得られる速度より
かなり速くなるのではないかと思うのです。そしてその速度にも関わらず
近傍の星の影響で外に飛び出さず軌道を維持するのではないかと考えています。
その意味するところは、「ダークマターはそんなに多くはいらない」という 事となります。
本記事の内容の数値シミュレーションと合わせいずれ記事としてまとめます。
ダークマターはニュートン力学レベルでの考察不足、ダークエネルギーは 相対論レベルでの考察不足に過ぎない気がしてなりません。もちろん、観測 できていない質量やエネルギーがあること自体は否定しませんが。
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