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◇「と」と「も」:列挙格と追加格

 列挙、実体提示格「と」(自動詞の対象格でもある)

「と」は列挙格を現す格助詞です。自動詞の対象実体を現す機能も 持ちます。他動詞の直接対象格の機能はもちません。

実体(対象物や状態など)を列挙します。列挙が基本機能ですので 実体と実体の間に挟む形が標準です。

  • A「と」Bがそこにある
  • 東京タワーは赤「と」白に塗られています
といった使い方をします。

始めの文は列挙された2つの実体「AとB」を主体として 命題「そこにある」が成り立っていることを現します。
なお、「AとBとがそこにある」という言い方をすると"列挙感"が 強調されます。
2番目の文は「AとB」という2つの状態が列挙された 目的(対象)舞台/条件に塗られるということです。「に」は 目的(対象)舞台/条件格です。

「と」は実体の列挙を現しますが、特定の1実体を提示することも できます。これは主に自動詞の対象、あるいは他動詞の直接対象 でない、補助実体を示す場合に用います。

  • AはB「と」闘う
  • AはBを先生「と」呼ぶ
といった使い方をします。(この「といった」の「と」も特定 の1例の提示です)

1実体の提示では、「格助詞の王様」である「は」 で主体格を与えらることも多くあります。

  • 青春「と」「は」何だ!?
といった使い方です。

「と」は「対立を現す」などとして「AとBが闘う」という例文 を挙げているものを以前見かけましたが、完璧な誤りです。
これは「AとB」という主体に関して「闘っている」という 命題が成り立っているだけであり、「と」に対立の意味合い がある訳ではありません。2つの実体が列挙され「闘って いる」という命題が成り立つなら、その2つの実体間に 争いがあるというだけです。
例えば「AとBがCと闘っている」という文は主体「AとB」 に関し「Cと闘っている」という命題が成り立つことを 意味します。AとBには対立関係はありません。

 追加格「も」(他動詞の直接対象格でもある)

「も」は文脈上想定される実体があり、それにさらに実体を 追加するものです。文脈上想定される実体への追加ですので 「と」と異なり実体と実体の間に置く形はとりません。

  • あれ「も」これ「も」食べたい
  • 雉「も」鳴かずば撃たれまい(文脈上、他の鳥が撃たれないことが想定されている)

最終的に複数実体を現すという点では「と」に近い 面はありますが、"追加"が主な機能であり、「と」と 異なり自動詞の対象とは通常なりません。他動詞の 直接対象格ともなります。

"追加"という概念は、基礎文脈では想定していなかったと いうことを意味しますので、特殊なマスコミ用法として、 否定接続的に使用されることもあります。これに関しては ◇もに書きました。

 他動詞・自動詞と「と」・「も」の関係

「と」と「も」では自動詞・他動詞との関係が異なります。
先に述べたように「と」は他動詞の直接対象とはならず、 「も」は直接対象となり得ます。

  • 肉と食べる(食べるの直接対象ではない)
  • 肉も食べる(食べるの直接対象)
逆に「と」は自動詞の対象となり、「も」は自動詞の対象と なりません。
  • Aと闘う(闘うの対象)
  • Aも闘う(闘うの対象ではない)

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