◆蘇るマックスウェルの悪魔
最近生物内の機構に関して「マックスウェルの悪魔」という懐かしい言葉が出てきたので。。
悪魔はただ働きするか?
最近、めったに目にすることの無くなった「マックスウェルの悪魔」の話ですが、

扉は何もしないとランダムに開いたり閉じたりします。それを悪魔が調整します。
当時、「永久機関となる」という理屈が全く理解不能でした。
「何の"仕事"もしなくても熱の差を作り出すことが出来、熱の差から力学
エネルギーを得ることができる、即ち永久機関になる」というのですが
どう考えても、悪魔が"仕事"をしている訳で、悪魔に餌を与え続けなければ
止まってしまうはずなのです。
扉は勝手に開いたり閉じたりしており、悪魔は単にそのタイミングを調整するだけとは言え、
扉に命令するなり、あるいは開きそうになる扉を開かないようにするなりする必要があります。
永久機関論は、まるで「誰かに目立たない働きをさせ、それを無視すれば、永久機関となる」といっているだけ のように見えました。確かに粒子の動きと扉の開け閉めの調整というのは "仕事"の質が全然違います。しかし、だからと言って扉開閉を調整する"仕事"を完全に無視しして よいとは到底思えなかったのです。
もちろんオカルト本ではないので「マックスウェルの悪魔は存在しえない」 というのが結論なのですが、それにも疑問を感じました。
「マックスウェルの悪魔」の言わんとすることは
- 分子の選択という細かな「仕事」が出来れば、
- 統計力学的なランダムな運動エネルギー集合から
- 大きなまとまった力学エネルギーとして取りだすことができる
(つぎ込んだ以上のエネルギーが取り出せる訳では ありませんが、利用しづらいエネルギー「微小扉の開閉」を 使いやすい熱エネルギーに変えるなどができる)
性質の違うエネルギーの変換に関する基本的な考え、数式化などが まだ出来ていないのではないか。
納得できない「謎」となったまま n十年。
悪魔の再登場
最近
「生物の筋肉運動などは ランダムな熱運動やブラウン運動を分子レベルで選択することによって 効率的な力学作用を得ているのではないか」即ち
「生命はマックスウェルの悪魔を使って生きているのではないか」という話がありました。
もちろんマックスウェルの悪魔はただ働きする訳ではなく、ATPを餌
(エネルギー元)として消費します。
そうなのです。多分可能なのです。そしてこれを「マックスウェルの悪魔」と呼ぶことも
適切でしょう。
わくわくする話題です。。。が、あまり世間の興味は引かないようなのが
残念です。
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本記事を書いた真の動機は、光波の エネルギーと物体の運動エネルギーの転換に関して物理学の理解 が進んでいないのではないかという疑問( ◆波の圧力、波の運動量 )がまずあり、未だその仕組みが美しく 数式モデル化されたとは言えない統計力学での情報のエネルギー 転換に、異なるとは知りながらも、類似性を感じてしまったこと にあります。
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