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■光と縦波、横波;光の振幅とは

 縦波、横波のイメージと光

光は「横波」とされます。

「縦波」「横波」と聞いて浮かぶイメージは次の図の上2つのものではない でしょうか?
縦波では点が波の進行方向に揺れ、横波では波と垂直方向に揺れています。 揺れは実際に空間上での位置の変化です。

上から 縦波、横波、方向を持つ強弱波


光はこの図の2段目の「横波」の様に空間上のある幅で揺れる訳ではありません。

光の揺れは「位置」ではなく「強さ」の揺れなのです。
3段目は「強さ」を明るさと色で示したものです。
光の波はこの様に位置の変化を伴わない揺れが伝わるものなのです。

なお、水面の波は横波ではありません。水面の波に関して■動画で見せる横波縦波と水面の波 と  ■動画で見せる液面波:体積保存モデル に記事を置きました。

 波の進行方向と電場、磁場の方向

光/電磁波は磁場と電場の強さの'変化が伝わっていく'ものです。

磁場、電場は方向性を持っています。この方向が光の進行方向と 垂直になっています。 しかし、磁場の位置や電場の位置が揺れ動く訳ではありません。
強さが変るだけなのです。

その場所に例えば電子を置けば電場の強さの周期変化に合わせて 空間上で揺れ動くでしょう。しかしそれは電磁波そのものが 空間上で周期的に位置を変えているのではないのです。

光は直交する電場ベクトルと磁場ベクトルの波の図で現されること があります。
それは一見空間上の揺れのように見えます。
しかし、各ベクトルの線はあくまで強さを現しているのであり 位置変化を現しているのではないのです。

 光の振幅とは

光にも「振幅」名付けられる性質があります。

しかしそれは通常の縦波横波で直感する空間での揺れ幅、例えば 何μm、何nmなどといった「長さ」ではありません。

単位距離当たりの電位差、即ち 何ボルト/メートル かなのです。

図で言えば縦波横波の振幅は例えば緑でマークした要素の位置の差ですが、 光の場合強さ(ここでは色と明るさで示している)の差なのです。

 偏光と横波

ある一定方向の電場の変化を吸収しやすい電子配置構造があると、 その方向の電場ベクトルの変化を持つ光のエネルギーは吸収され 光はそこで遮断されることになります。
これは直交する方向の磁場ベクトルの変化をさえぎるとも言えなくもありませんが 磁場に直接感応するのではないことは認識しておくべきでしょう。

これも光をゆらゆらと揺れながら進む横波と誤解する大きな要因となります。

偏光と偏光板の関係は決して要素の空間的移動を制限するすだれのようなものではないのです。

 普通の縦波、横波と光の波伝搬の仕組みの差

普通の縦波、横波と光では波の伝わる仕組みが全く異なります。

普通の縦波、横波は0点からの位置のずれに比例して、0点に 戻そうとする力が働き、それによる動きが隣に伝搬していきます。

バネと質点を並べたモデルで現せます。

これに対し光は0点からのずれではなく、磁場・電場の強さが「変化」 することが要因となります。磁場の変化が電場の変化を生み、 電場の変化が磁場の変化を生むという形で波が伝わるのです。(この 説明もちょっと誤解を生みますね。図示するのはとても難しいもの ではありますが、良く見る電場と磁場の鎖が並んでいるのは 間違いとすべきでしょう。電場磁場が交代するモデルとしても位相は 180度のずれであり、180度のずれというのは、符号をどうとらえる かによっては位相が一致しているわけで、鎖のつながりとは 全くことなります。数式的には変化の変化率が電場と磁場で 同じになる形です。どう絵にすべきか。。。)

電場、磁場は空気や水がそうである意味での波の媒体では ありません。

 雑談(全く別の話題です)

動画はIE9未満ではFlash、それ以外ではcanvasで出しています。
IE9でも互換表示モード([ツール]-[互換表示])の場合Flashと なります。

 タイトル変更

当初光を「横波」と呼ばない方がいいのではという意味で 「光は横波ではない;光の振幅とは」という過激なタイトルにしたのですが さすがにその論旨を貫くことは難しく、 「光はゆらゆら揺れながら進む横波ではない」に変更しました。

が、把握しづらいので「光はいわゆる横波ではない;光の振幅とは」 と当初のタイトルに"いわゆる"を付加する形にしました。語弊覚悟です。 それでも、最初のタイトルに比べ腰砕け感はあります。

実は腰砕けの要素は他にもあり

  • 空気中を伝わる音は縦波とは言っても、 空気分子は統計的には進行方向に振動するのですが一個一個の分子は ランダムな動きをしている
  • 水面の波は横波と言われることがあるが、水自体は円運動に近い動きをしている
てことで、細かな事をいうと光の方がより"純粋な"横波と言えるのでは。 というタイトルを否定する考えも浮かんだりしたのです。

さらにタイトル変更:
結局「光と縦波、横波:光の振幅とは」に変更

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