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◆光行差と波と粒子と特殊相対論

移動する系から見ると、光のやってくる角度が移動方向にずれて 見えます。
光行差といいます。

光行差が起こる事は例えば地球の公転運動に伴ったものなどで 確認されています。

 光行差を雨粒で説明するのは乱暴すぎ

光行差の起こる仕組みは良く雨粒で説明されます。

これは一見直感にマッチする分かりやすい説明のようです。

しかし、この例えは光に適用できるものでしょうか?

雨粒の速度(ベクトル)と走る人間の速度(ベクトル)は 単純に足し合わすことができます。
雨粒の速度をvA、人の速度をvMとすると、 走る人から見て

  速度 √vA2+vM2
  角度  tan-1(vA/vM)
で雨粒が落ちてきます。

しかし光にはこの単純なベクトル合成が通用しないことは 光速度を超える速度が許されないことを考えれば あきらかです。

はたして光速ベクトルに垂直な速度ベクトル合成することが できるのかという事から考え直さなくてはなりません。

 波を切るボートの説明は間違っている

光は波です。

光行差を波のある海を行くボートで説明するものも あります。

これは完璧な誤りです。

ボートが移動により切り裂いているのは、海水という「波の媒体」 であって波ではありません。

波とボートの角度はボートの速度に関わらず一定なのです。
ボートで波を観測すると波の来る方向には「光行差」にあたる角度の変化 などありません。

真横から来る例を上げましたが、例えば斜め45度から来る 場合はどうでしょう?

図ではボートから2本のセンサーが出ています。このセンサー が同じ位相で波を受ける場合、波が斜め45度から来ると判断 できます。

ボートが動くことを考えてみましょう。
どんなに速く動いても2つのセンサーが波を受ける タイミングは等しいことが分かると思います。
変るのは周波数だけです。

このように波では「光行差現象」は起こり得ないのです。相対論的効果を 持ち込まない限り。

 特殊相対論効果による波の「光行差」

まず波としての光が来る方向がどのように分かるか考えてみましょう。

真横から来る光は、波が前方と後方に同時に到達します。

斜めから来る光はどうでしょう?

斜め前方から来る光の場合、波の到達に時間差/位相差が あることが分かります。

もちろんボートで示した斜めに付き出したセンサーで 角度を正確に測ることもできます。

前後で受け取る時間差/位相差があれば斜めからの光なのです。

光行差があるということは、静止系から見ると、真横から、 即ち前後の時間差無しで波が到達し、 移動系で見ると、斜めから、即ち先頭に速く波が到達 するということです。

真横から来る光が前後で時間差を持ってロケットに到達するでしょうか?

◆長さに関するローレンツ変換式を導くで示したように、 静止系から計測する移動体の同時性と、 移動系内で自ら計測する同時性は異なります。

移動系では移動方向の前方の時間が後方より遅れた 状態となります。
時計を持ち出すのは必ずしも正しいとは言えませんが、 分かりやすくするために時刻で示すと、 例えば 後尾は9:30:01の時先頭は9:30:00の時であるといった形です。
この時、静止系からの計測で同時に波が到達した場合、 後尾に9:30:01に到達した波は先頭では先に9:30:00に受け取っていたことになるのです。
即ち静止系から見ると、真横から光が来ているのに、 移動系から見ると、斜め前方から光が来ていることに なります。
光の当たり方は、あたかも雨の中を走る 人のように前方に傾いたものとなります。光が ロケットのどこに当たるかというイベントは 静止系から見ようが、ロケットの系で見ようが同じ です。

つまり「同時性」の差から波でありながら光行差が生じるのです。

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本記事は数式を避けましたが、いずれきちんと式を導くことに します。

 「光行差」があるから移動体は歪まない

光行差がない場合を考えてみましょう。

四角いロケットABCDが高速移動するとします。
角Aから出た光が角Bに到達するまでに、角Bは B'の位置にまで移動します。

静止系からみるとB'位置で受ける光はAから のものです。
もし、ロケットの系でB'位置でA方向からの、 光を受けるとすると、ロケットは歪んで見える はずです。
しかし、ロケットにとって各角は静止状態のはずです ので、歪んで見えるはずがありません。ロケット はあくまでこちらの静止系に対して移動しているだけ です。

実はAから出た光は光行差のため、B'地点ではA'方向から来たように 見えるのです。
自分自身の系に於いて、決して他系との速度によるゆがみなどは起こ りません。どちらかの系が「絶対静止系」であるといったことはありません。

本来、特殊相対論は完全理論で、全ての事象は同等であり、 原因と結果という形ではありません。
実は光行差があるから歪まないのか歪まないから光行差が出るのか ではなく、光行差があるということと静止系で歪まないこと、 系により同時性の差があり光行差があること、 さらには、時間の遅れや、長さの縮みなども 全く同じこと の言い換えに過ぎず完全に同等なのです。

 補足:

ロケットから見て真横から来る光が斜めから来るように見える というのは、あくまでロケット(移動体)の視点です。

ロケットが斜めになって飛んでいくように、静止系から見える 訳ではありません。
静止系から見ると、ロケットはあくまで真横から光を受けている のです。ただし、雨の中を走る人と同じような形で、光の当たり 方は前方方向にずれています。

 相対論により波に与えられる粒子性(妄想)

基本的に移動体が見る波は速度に関わらず方向は変りません。 方向が変るのは対象が粒子の場合です。

しかし、記事で示した通り、特殊相対論では、波に相対速度 による進行方向の変化という粒子性を与えることになります。

波が粒子性を持つ?
そう、物質は波と粒子の二面性を持つという量子力学に於ける基本性質は、実は相対論的要求から 導き出されるのではないでしょうか?

。。。という妄想がわいてきます。

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2012/6/20:
iPad対策でFlashが無い貧弱なブラウザの場合静止画を 出すようにしました。

2017/5/17:
余計な文を削除

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