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◆管の口での音反射の原理:定常波の理由の理由

なぜか説明を見ない、管の口での音の反射の原理。即ち定常波の出来る理由の理由。

 トンネルのこだま・開管の定常波

トンネルの中で大きな声を出すとこだまが返ってきます。細かなエコーでは なく「やっほー」に対し「やっほー」と返るこだまです。

トンネルの出口で起こる音の反射です。

出口でのこの音の反射がトンネルではなく楽器のように音の波長に 対して十分に短い管で起こり、連続する振動があれば定常波を 作り出します。

なお、図は作図の都合上横波のような描き方となっていますが、実際は縦波(疎密波)です。

 なぜ壁もないのに音が反射するか?

壁で音が反射するのは理解できます。

でも、なぜ壁もない管の出口で音が反射するのでしょう。

バネでつないだ重りモデル

空気の管とはかなり異なりますが、重りをバネでつないだモデルで 考えてみましょう。

端で重りを押すと、その力はバネを介して縦波(疎密波)として次々に伝わって いきます。

押された各重りは右に動き、直ぐ元の位置にもどるのですが、その動く量は、端の重りを除いて一定です。

波が端に到達すると、端の重りが動きます。この時端の重りはその先に押すべき重りがない ため、これまでより大きく右に動きます。

端の重りは、安定して波を伝えるための動きより大きく右に動いてしまいますので、 バネが伸びすぎてしまいます。
伸びたバネは、左の重りを引っ張ります。

引かれ右に動いた重りはバネを介して左の重りを引くことになります。

こうして、当初押す形で右に進んだ波が今度は引く形で左に進みます。
即ち、波が反射したのです。

波の反射する位置は、端より少し出た所になることも分かります。

管の場合

もちろん、管の空気の場合は、管の端で切れている訳ではありませんので、全く同じ では有りません。

管の左奥で波が発生したとします。

波は右方向に進みます。

管の口に達すると、横方向にも広がろうとします。

これまでより広い範囲に広がりますので中央の圧力は単純に進行していた ときに比べ低くなります。

管内の空気が、外の圧力の低さに引かれます。

圧力の低い部分は波となって管内を逆走します。

波が反射したのです。

バネで結ばれた重りのモデルと同様にこの空気管モデルでも、反射位置は 端より少し外側になります。

図はシミュレーションによって得ている訳ではなく、想像による作図です。 管の中の疎密波が単純に垂直で、管の外が単純な円形であるのは作図の 都合です。

 楽器は?

管楽器は基本的に片方が開いた管の定常波により音程をとります。

笛では管の途中に穴があります。おそらく穴の部分で圧力が逃げるため そこで反射が起こり定常波を調整するのです。

各楽器の管の端はどうなっているでしょうか?
フルートは単純に管を切り取った形をしていますが、クラリネットや ラッパ類は口が広がっています。ホルンやチューバなどはその口の 広がりがとても大きくなっています。

徐々に広がっていることにより、至る所で反射が起こる、あるいは 反射を起こすことが可能で、音程によって反射の場所が微妙に変わるという こともありうるかと思います。

 圧力モデルでのシミュレータはあるか?

波動に関する一般書では、開いた気管での定常波の説明はありますが その原理(本記事で述べているような事)に関しては 一切述べていません。

波の'物理'シミュレーションは色々ありますが、一般的に目にする 範囲では、どれも波の反射は元々モデルに組まれていて、なぜ反射 するかというレベルはシミュレートされていないように見えます。

例えば楽器の'物理'シミュレーションを行うシンセサイザーという のを一度見て見たのですが、「波はこうなる」という決め打ちモデル のようでした。

少なくとも、「反射がある」ことを前提にしたシミュレーション・モデルではなく、 シミュレーションの結果として反射が得られるものがあるはずです。

シンセサイザーによる楽器のシミュレーションではこのレベルまで下がらなければ 本物らしい音は絶対に得られないと考えています。

 分子運動レベルまで

本当は分子運動レベルまで遡ったシミュレーションもありうるんじゃないかと おもっています。
量子力学レベルまでは行き過ぎだとしても。

 空気以外の振動

空気以外の振動でも、管の口に相当する、媒体が波の進行の垂直方向に 広がる部分での反射のようなものは起こるのでしょうか?

例えば出っ張りのある金属の出っ張り部を叩くと広がった部分で音振動は 反射するのでしょうか?

 横波

気体の場合基本的に縦波しかない訳ですが、横波でもこのような現象は あるのでしょうか?

もし横波でもあるとすると。。。。光は? 光は純粋な横波とは言い難いけど

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「高校の物理?」
いえいえ、高校ではなぜ管の口で反射が起こるかには一切ふれていません。 定常波が出来るということまでしかやらない。
波動絡みの一般書でも全く触れられない。

開管での音の反射はここで述べたように「定性的」に理解できます。
学者あるいはそれに準ずる人の中には「偏微分方程式を解かないと開管での反射は説明できない」 と言う人もいますが、間違っています。波に関する偏微分方程式は ほぼこの定性性を念頭において作られたモデルにすぎません。
もちろん、数式モデルを用いた確固たる裏付けは必要ですが、 仮に偏微分方程式を解くレベルまで踏み込まないとしても、 定性的説明は行うべきです。

なお、通常見られる 波動方程式による解法は形状がどのように媒体の振動の係数に絡むかは 全く述べていません。単純な一次元の線で途中で突然係数が変わるのは 現象を数式に置き換えているだけで、「理由を述べている」というには 余りにも浅いように思えます。
なぜ、開口部でパラメタが変わるのかを述べて欲しいのです。管の途中 での開口などもです。そして、なぜクラリネットは中間音程を採る グリッサンドが可能なのか、なぜホルンの音程は不安定なのかなども 表せなければ方程式としては十分とは言えないでしょう。

そもそもランダムに飛びまわっている大量の分子がなぜ波という大構造 を持ちうるのか、それがなぜ各々の分子の動きやあるいはそれらの 統計的な存在を無視した単純な偏微分方程式で現されるような大域的 現象を起こすのか?
というレベルのシミュレーションは可能なはずです。
「波」を前提にしたシミュレーションではなく、無数の物体のランダムな 動きと物体間に働く力をベースにしたシミュレーションを「見たい」の です。結果として波、その反射、回折が起こるようなものです。

ついでに気になって仕方がないのが、開口部での回折。空気の場合単なる 波の回折にとどまらず渦を作ることもあるように思えるのです。波動方程式 ではこのあたりは解いていないようです。開口部での音は単なるに波としての 回折と反射があるのではなく、小さな気流をも生み出します。
この辺りまでシミュレートしたい。

作れるとは思っているのですが、、、始められない

...と、グダグダ書いているうちに、ちゃんと勉強し、ちゃんと調べればちゃんと したものがありそうに思えてきた。うん、あるに違いない。

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