◆翅脈翼と鱗粉翼:高性能航空機をめざして
本当にそんなに単純でいいのか?航空機の翼
一般に航空機の翼は表面が滑らかです。
これに対し空を飛ぶ生物の翼/翅は必ず表面に細かな細工を有しています。
鳥の翼は細かな羽根(羽毛)の集合ですし、昆虫の翅は翅脈で囲まれた細かな凸凹を持つか、
微細な燐粉で覆われています。
水は空気とは全く粘性が異なりますが、魚は鱗で覆われたり、サメ肌であったり、 細かく波打つ皮膚であったり、いずれも「滑らかでないこと」が重要な 機能をもっているように見えます。
ゴルフのボールや野球のボールも表面はわざと滑らかでなくしています。
航空機の翼は余りにも単純で工夫がなさすぎるように思えるのです。
翅脈翼、サメ肌翼、ディンプル翼
例えばサメ肌のような細工は必ずしも難しくないと思います。
軽量の「サメ肌塗料」を吹き付けるといった方法もとれるはずです。
翅脈翼は翅脈で囲まれた小さな面が少しずつ角度を変えて
ならんだ凸凹構造をとります。
面と面の境には脈が構成されています。
脈に強さを持たせれば面部の構材を薄くでき、軽量化も
可能だと思います。
ディンプル翼は加工法や強度を考えるとおそらく翼向きではありません。
こういう工夫により大幅に空力学的効率を上げることができると考えています。
左図では大きな形態は普通の翼風にしてありますが、 上面と下面のパターンを変えることにより、より大きな浮力を得ながら 抵抗の小さい全く異なる形状の翼というのも可能かもしれません。
翅脈の形状は例えば運動性能を高める必要のある戦闘機ならハチのパターン、 それ以外の小型機はアブのパターン、旅客機はトンボのパターンなど といったこともあるでしょう。 (◆ミツバチかハナアブか参照)
もちろん大きさも速度もまるで違う上、はばたき翼と固定翼 という差もあるのですが、余計な共振や余計な渦や へばりつき抵抗となる空気を消す効果はあるはずです。
鱗粉翼、羽毛翼
ヘリコプターは回転翼が「パタパタパタ」という大きな騒音を発します。
回転翼の細工により騒音を低減できるのではないかと考えています。
大きな騒音は大きな空気の乱れ(渦)によります。
大きな乱れを無くす方法は、無数の小さな不揃いな乱れを作ることです。
サメ肌や翅脈は小さなランダムな乱れを作り出すことにより大きな乱れの発生
を抑え、かつ空気の薄い膜を身にまとうことによりさらに抵抗を
下げる効果を得ています。
しかし固定のパターンではランダム性に限界があります。
鱗粉や羽毛では表面の無数の微小パーツがそれぞれランダムに動き、より細かなランダム 性をもたらします。これが羽音を小さく抑えることにつながっています。
具体的な製造法は現時点では思いついていませんが、不可能ではないと 考えています。
2段翼
2段になった翼というのも、効率、騒音低減に有効であろうと思いますが、 いずれ別記事で。
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この記事の内容は2年以上前の記事
◆ミツバチかハナアブか
の余談部に書きかけたもののまとまらなかったものです。
ハチ=戦闘機/戦闘ヘリ、アブ=セスナなどの一般小型機の連想からです。
ただ、余談にしては大きいネタだし、単独の記事にするにはちょっと弱い。
その後、
◇昆虫の飛翔力学(蝶は鱗粉で飛ぶ)
の余談部に書きかけたのですがやっぱりまとまりませんでした。
今回もそうそうまとまってはいませんが、弱いながらも単独で記事としました。
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2010/6/9:サメ肌を航空機に応用することを検討して
いる所は大昔昔からあるようですね。
でも、今一つ成果が出ていないようです。
2011/2/18:タイトルを「サメ肌翼と翅脈翼:高性能航空機をめざして」から 「翅脈翼と鱗粉翼:高性能航空機をめざして」に変更。
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