◇可識別性と生存負荷度による形態進化モデル
クジャクのオスはメスの「好み」で進化したのではない
進化のためには個体生存性を若干犠牲にしても子孫を残すことが重要である
当たり前の事ですが生物の進化にとって最も重要なことは 子孫を残すことです。
その為には、子孫を残すことに成功するまで、生き残らなければ
なりません。
生存できても子孫を残さなければ進化はありません。
子孫を残すための資質と生き残るための資質は多くの場合 相反するものとなります。
子孫を残すためには雌雄が出会わなければなりません。
雌雄が出会うためには、同種を認識し、他種を排除する必要があります。
認識が容易な目立つ形態である程出会う可能性を高められますが、それは
同時に捕食者による発見の可能性が高まる結果を生みます。
捕食する側の場合も発見されやすさは不利になります。
識別のための形態は運動性や効率性を犠牲にすることも
考えられます。
雌雄が密集して生活する場合は、識別のための形態の必要度 は下がるでしょうが、餌の確保が難しくなります。
自然界に於いて被捕食者の立場にある生物の形態の進化に ついて考えます。
可識別性と生存負荷度による形態進化モデル(「メスの好み」は無関係)
次の条件を元に、頭上シミュレートします。
- 個体密度
- 個体数
- 面積あたりの餌の生産能力
- 捕食者密度
- オスの目立ちやすさ(離れた場所からの認識しやすさ)
目立ちやすさは同種からも捕食者からも目立つものとします。 - オスの近縁種との差異
目立ちやすさとの関連をもちます。 - メスの目立ちやすさ/近縁種との差異
オスとの差は選択圧がない限り少なくなる方向に変化するとします。 - 運動能力
目立ちやすさに反比例するものとします。 - 展開可能面積
- 雌雄比
これらの条件は、世代を重ねる度にランダムに少しずつ変化 するとします。
もちろんある種は密集生活を送るでしょうし、単独生活を 送る種も出てくるでしょう。単独生活を送る種の中に「奇抜なオス」 の種が出てくるはずです。
これらの要因で「メスの好み」を排除してもクジャクやその他 一見不自然にオスが目立つ種の進化がシミュレートできると 考えています。
「メスの好み」が実証されたという話は聞きませんし、例えば クジャクなど「人間の目からみても目立つ」 のであり、クジャクのメスの好みが反映されたというより、 「目立つ、他と違いがはっきりしている」ということだと 考えるべきです。
一般に集団生活を送る種には「奇抜なオス」はいません。
メスの「好み」が形態を進化させるのなら集団生活を送る
種にもいてよいはずです。
「奇抜なオス」は「好み」の
問題ではなく、雌雄が群れない種においては、若干生存性
を犠牲にしてでも、「目立つ」ことが必要である
ことの現れです。
なお、近縁種との差異がさほど生存性に負担が大きくない
場合、種は分化し、それだけでも色々な形態へと進化して
いくものと考えています。
メスの好みではなくあくまで近縁種との「差」があるという
が要因です。
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本当はシミュレータを作るつもりだったのですが、なかなか
手がつけられずにいます。
簡単に出来そうな気もするんですけどね。
本記事は ◆性選択進化説の謎;メスの進化はなぜ無視されたか?の補足記事です。
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