◇格助詞「が」と「を」;「水が飲みたい」と「水を飲みたい」の差
さすがに格助詞「が」と「を」の使い方を間違える人はいません。
しかし、「水を飲みたい」と「水が飲みたい」の差を明確に述べよ
と言われて咄嗟に答えるのは難しいかもしれません。
「が」と「を」は
- 「が」は主格
- 「を」は直接対象格
主格とは
主格とは、
- ある命題が、ある主体に対して成り立つ
動作主体であったり、同値主体であるわけではありません。
「水が飲みたい」というのは
- 「水」に関して
- 「飲みたい」という命題がなりたっている
なお、「主語」という言葉は「論理主体」ではなく 「動作主体」や「同値主体」を表すものであり、 言語の論理解釈に使用するのは適切ではありません。
直接対象格とは
これに対し直接対象格とは
- ある動作の作用対象
「水を飲みたい」では
- 「水」は
- 「飲む」の作用対象
「僕は水が飲みたい」と「僕は水を飲みたい」の差
◇概念構文(命題構文)と陳述構文 でも述べましたが「が」は対象文が「命題」として取り扱われる ことを表します。
「僕は水が飲みたい」は「水が飲みたい」という文が「命題」であり それが「僕」に対して成り立っているということを示します。
もちろん「僕は水を飲みたい」でも「水を飲みたい」が「僕」に対して成り たっています。
この2つの文は論理構成が異なります。
- 「僕は水が飲みたい」では
- 「水」を主体とする「水が飲みたい」が
- 「僕」の命題としてなりたっている
- 「僕は水を飲みたい」では
- 「水」は
- 飲みたいの作用対象に過ぎない
この論理構造の差により、
-
「僕は水が飲みたい」では「飲みたい」より
- 「水」が強く提示され、
-
「僕は水を飲みたい」では「飲みたい」と「水」
が同程度あるいは
- 「飲みたい」が少し強く提示される
ついでに 「僕は水は飲みたい」
◇概念構文(命題構文)と陳述構文 でも述べているように「は」は事実の陳述です。
「が」による 構文は命題としてその構文を包含する構文内で命題として取り扱われ 真偽の評価対象となりますが、「は」による構文は陳述であり 基本的にはそれに対する評価は行われません。
従って「僕は水は飲みたい」は論議対象ではなく、「僕は水は 飲みたい、でもお茶は飲みたくない」といった形をとるのです。
2011/1/19 タイトル変更
タイトルを
格助詞「が」と「を」そして「は」
から
格助詞「が」と「を」;「水が飲みたい」と「水を飲みたい」の差
に変更
| 固定リンク