■星空モード:星は暗いのではなく小さいのです
写真で星を撮るのはとても難しいものです。そして折角撮れた星も、 写真を実用サイズに縮小すると消えてしまいます。
この問題を解決する方法の提案です。

(なお、この画像はCGです、映画のキャプチャではありません)
極めて単純な星空モード補正ミュレータを作成しました。
ズームで明るさが変わるのは間違っている
星と他の物体の写っている写真(通常は合成)を縮小すると星だけが 暗くなってしまいます。
普通の物体ではズームアウトしても明るさは変わりません。ところが 星は暗くなり、場合によっては消えてしまいます。
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十分な広さの面がある場合は、その大きさが変わっても、面の各部分の 明るさが変わらないのです。
これに対し星は、本来点であり、画像上はその大きさそのものが明るさを示す
形になっています。
このため、大きさが変わることが即ち明るさが変わることになってしまう
のです。
さらに、画像縮小時に行われるスムージング操作により、回りの黒と混ぜ合わされ 暗くなっていきます。(スムージングを行わない場合、星の暗くなり方は かなり抑えられますが、画がスムーズさを失います)
光の描き方として正確であっても、ズームにより星のみ明るさが 変化するように感じるのは不自然です。
星は縮小しても同じ明るさを保つには、
- 輝度を高める
- サイズを大きくする
星は暗いのではない。星は小さいのだ。
星は暗いのではありません。
星は小さいのです。

高解像度で光学的なにじみがない場合、星の光は極めて小さな点に
像として結ばれます。
そして、この点の明るさは、太陽を撮影した場合のそれとほぼ同じ
なのです。面積が小さいだけなのです。
高い光学性能を持つカメラの場合、受光素子(またはフィルム)の レンジを越えてしまうエネルギーが小さな点に集中します。
そして、回りとの明るさ比較において星は本来の明るさより暗く 撮影されてしまうのです。
つまり、正確な記録とはなっていないのです。
明るさを正確に再現するためには、
- 光学性能を落とす、
- 受光素子のレンジを広げる、
- 想定されるレンジオーバーを補正する
しかし、 受光素子のレンジを上げても、それを表現する媒体の"点"の レンジに限りがあるので、 星空モード補正が最も確実な手法だと考えています。
簡易星空モード補正シミュレータ概要
星を認識し、星部分に対し、
- 輝度を上げる
- サイズを大きくする
- 輝度を上げかつサイズを大きくする
処理を加える画像は[画像URL]で選択できます。
画像表示は
- 元画像
- 処理済画像:画像に処理を加えたもの、元画像と同じ大きさ
- 縮小画像:元画像と処理済画像を1/4の大きさにして並べた
消えかけている星を復活させることも可能です。

単に全体を明るくしたりエッジ強調をしているのではないので、 星以外の部分に変化が加えられていないのが分かります。
画像サンプルとして、星のない画像を全体が明るいもの、真っ暗な領域
を持つものの2つ用意しました。
どちらも、星空モード補正では一切変化がないことが確認できます。
簡易星空モード補正の仕組み、星検出アルゴリズム
これは簡易のものです。本記事の星空モード補正シミュレータはこの仕組みを 採用しています。
星検出アルゴリズム:
画像は3値で解釈されます。
- 黒レベル
- 中間
- 高輝度レベル

星を構成する画素かどうかは1画素ごとにチェックされ 次の領域で値チェックが行われます。
- 対象画素
- 近傍領域
- 近傍黒期待領域
- 対象画素の輝度が高輝度レベル以上
- 近傍黒期待領域の全ての画素の輝度が黒レベル以下
黒レベルはシミュレータ画面下の[dark]で0~765を指定します。高輝度レベル
は[bright]に同じく0~765を指定します。
近傍領域の幅、近傍黒期待領域の幅はareaの2つの値で指定します。画素単位です。
輝度補正:
輝度を1/n乗値に置き換えます。
シミュレータ画面の一番下右の[輝度]で値を指定できます。
サイズ拡大:
x、yそれぞれマイナス1分の画素を対象画素の値に置き換えます。
(x,y) => (-x,y),(-x,-y),(x,-y)
画素は4倍の大きさになります。パラメタ固定です。
NASAやハリウッドでも必要だと思うんだけどねえ
宇宙で撮影した高解像度画像を公開する場合、そのままのサイズということは あまりありません。
縮小された宇宙の写真からは、元々は写っていた星が消えてしまっています。
これを避けるためには、公開用に星空モード補正を施すべきです。
星に満ちた映画もビデオ化されると星の数がひどく減ってしまう場合が
あります。
ビデオ化を考慮し予め星を大きくすると映画館での見え方が不自然に
なります。
そこで、星空モード補正を。
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