◇下敷きはギガイオン:大気イオンの50歩100歩
えっ?「大気」イオン?
つい最近まで知らなかったのですが「大気イオン」という言葉 があるそうです。
"大気"と付くことで明らかなようにこれは化学の用語ではなく
気象用語です。
この修飾語が付くことにより化学者たちは踏み込むことが
できなくなります。そして、そこに似非科学の魔の手がしのび
よってきます。
イオンとプラズマ(半歩)
イオンというのは、例えば食塩(NaCl)を水(H2O)に溶かすと ばらばらになりNa+とCl-という電離した形で 定常平衡状態を保ったものを呼びます。
強いエネルギーを与えて電離状態になっている原子/分子も
イオンと呼ぶこともありますが、通常はプラズマと
呼びます。
これをイオンと呼ぶのは若干拡大解釈気味ではあり
ますが、少し譲って認めることにしましょう。
1分子1分子を見るとイオンと言えなくはないです
からね。これを認めると、結合状態にあるものも
構成物1個1個をイオンと言えるようになってしまう。
金属なんかイオンの塊と電子だ。
イオンと大気(一歩)
大気(理想気体ではありません、あくまで地球上の空気)は
常に宇宙や地面からの放射線を受けており、この影響で
空気を構成する分子は電荷をもった高エネルギー状態となるものが
あります。
また、雷などの放電現象や、波、滝などの水の運動の影響
で電荷を持った状態となる分子もあります。
これらは本来希薄プラズマとでも呼ぶべきもので、水中のNa+,Cl-
がそうである意味でのイオンではありません。
しかし、プラズマを構成する電離原子/分子をイオンと呼ぶことを
認めてしまったので、ここは1歩譲って、イオンと呼ぶ
ことにしましょう。
イオンとクラスター(10歩)
大気中での電離分子の存在形式としては、それらが集合した 状態(クラスター)があるということです。
さすがにそれをイオンと呼ぶのは無理がありますが、 これは「イオン」でなく「大気イオン」で別物なので、 10歩譲って認めることにしましょう。
とはいえ、もはやそれらは陰イオン、陽イオンと呼ぶのは 無理があるので「負イオン」「正イオン」といいかえて 誤魔化します。(ひょっとしたら誤魔化しというより 化学界では陰陽を使い物理界では正負を使うといった 用語混乱の歴史に起因する言い方かもしれません。 なお英語ではnegaive ion,positive ionで区別はありません)
イオンと浮遊粒子への付着(50歩)
さらに、電離した分子が大きな浮遊ゴミ(エアロゾル)に
付着した状態もあります。
電離分子のみならず単純な帯電したゴミもあります。
これも大気イオンと呼ぶのだそうです。大イオンというそうです。
いくらなんでもこれは無茶すぎるのですが、気象現象という観点から みれば、細かな構造などど~だって良いのです。
そうなのです。「大気イオン」は化学用語でも物理学用語でも なく、あくまで気象用語なので気象にどう影響を与えるかと いう観点から決めるのです。
「じゃ"イオン"と言わないでくれ」と言ってももう遅い。 すでに10歩譲って「大気イオン」を認めてしまっています。
イオンと正体不問の物質(99歩)
とにかくゴミであれ電子であれ大気中に存在して電荷を持つものは 全て「大気イオン」なのです。
例えば雷の稲妻はN2+などが光っているのでしょう。それはただち に他のものを電離させO2-(H2O)3などを生み出し、 さらに色々なものに電荷が移動し、果ては荷電ゴミまで 生成することになります。
滝で発生する水滴は電離し、その電荷はおそらくただちに 別のものに移動していくことでしょう。
つまり、大気中で具体的にどの分子が電荷を持っているかを 定めることができないのです。
化学的にはいっしょくたにはできないものですが、実用気象学的には まとめて良いことなのです。
イオンとマイナスイオン(100歩)
そもそも「大気イオン」が実用用語なので、 マイナスに帯電したもの、プラスに帯電したものを表す言葉も 「陰イオン」「陽イオン」というカビの 生えたような言葉や「正イオン」「負イオン」という聞いたことも なくかつ分かりづらい言葉ではなく、もっと分かりやすい実用用語 を与えましょう。「マイナスイオン」「プラスイオン」です。
正体不問のものでもプラス、マイナスに帯電している以上、 この名称は分かりやすく、化学用語である「陰イオン」「陽イオン」 を避ける姿勢は正しいものです。
こうして100歩譲って「マイナスイオン」が認められましたが、 50歩の「大イオン」を認めることとそのいい加減さにおいては 大差ありません。
イオンと大気イオンとマイナスイオンと健康と科学と非科学
しかし、100歩譲ってマイナスイオンと名づけるものの存在を 認めたとしても、マイナスイオンが健康によい というのは、認めるのはさすがに難しいでしょう。
空気中のゴミを凝結して落とす効果はあるかも知れませんが。
マイナスイオンは非科学性を指摘され消えました。
健康との結びつけは余りに飛躍しすぎていたので消えて
当然だとは思うのですが、少し気になったのが「マイナス
イオン」そのものの非科学性の指摘の仕方です。
「マイナスイオンは非科学的であり、陰イオンが正しい」
という批判は完璧な的外れです。それは単に
言葉の問題にすぎません。
健康関係はひど過ぎるとしても、「マイナスイオン」
の存在を否定するのであれば、気象学での「大気イオン」
とりわけ「大イオン」は同様に否定されるべきです。
まさに50歩100歩なのですから。
気象学ではイオンという表現はやめ「帯電粒子」と
すべきです。
いくらなんでも「大イオン」はひどすぎです。
下敷きはギガイオンだ!(ウソですよもちろん)
気象学では帯電して空気中を漂っているものはなんでもかんでも
成分構造を問わず「イオン」と呼びます。
気象の観点から言えば区別の必要がないからです。
例えば、よくこすって静電気をたっぷり持たせた下敷きを 静電気を保ったまま埃のレベルまで粉砕して空気中に散布 すると、それはマイナスの電荷をもった「大イオン」となる のです。
つまり下敷きはマイナスの「大イオン」の巨大な集合体であ り「ギガマイナスイオン」なのです。
ギガマイナスイオンの下敷きを頭にかざしましょう。髪の毛 が吸い上げられますね。貴方の頭のなかの悪いプラスイオンが 髪の毛を通ってギガマイナスイオンに吸いつけられているの です。しばらくかざすと髪の毛もさらさらになり、頭も すっきりします。これこそギガマイナスイオン効果なのです。 もし効果が薄れてきたら、もう一度下敷きをこすってみて ください。ギガマイナスイオンは何度でも復活します。 ストレスを感じたら下敷きをこすって頭にかざしましょう。 ストレスによって作られるプラスイオンはギガマイナスイオン が全てすいとってくれます。貴方は心も体も健康になるのです。 (ウソですよ、もちろん:帯電はイオンじゃない)
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