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■色相拡張による2色型色覚シミュレータ

「色相拡張画像表現」による2色型色覚画シミュレータを作成しました。

2色型色覚の場合どのように色を"感じている"かを示すことは実際には 困難ですが、幾つかの方法による絵を示すことにより、考えの補助には なると思います。ただし、あくまで人の感覚であるRGBの1色を落とした ものをRGBの表現範囲内で人が分かりやすいように表しているに過ぎないと いうことには忘れてはなりません。

 自然の風景を2色型色覚はどう見るか

まず、青緑2色型で、今回提案する「色相拡張方式:(B..G)->(B..R)」と広く世間で用いられている 「単純無彩度連結:R=(G+B)/2」の差を示します。

元画像
単純加色
単純無彩度連結:R=(G+B)/2
色相拡張:(B..G)->(B..R)

元画像以外の画像は全く同じ青と緑の情報を元に表現されています。

しかしながら、直感できる情報量には大きな差があります。

「色相拡張」が細かな色合い、光の具合まで描き分けているのに 比べ、「単純無彩度連結」では本来の色合いの差も消して全体に はっきりしない絵となってしまっています。

青と緑により作られる色空間をどのような"色彩感"で 受け取っているかをスペクトル図、色相図、CIExy 色度、および3色混色図で示します。

元画像
単純加色
単純無彩度連結:R=(G+B)/2
色相拡張:(B..G)->(B..R)

「単純無彩度連結」は青と緑の間を白/灰色で補完したものです。また、青、緑 はそれぞれ感受色の青紫、黄緑に対応付けられます。
「色相拡張」は青から緑 までの色相を青から赤までの感受色に対応づけるものです。

2色型色覚を持つ動物がこの「単純無彩度連結」のような形で 色認識をしていることは考えられません。
色を認識する神経組織で、色と色の間の色を 異なる色相の色として認識しないということは考えにくいことです。

残念なことにこの「単純無彩度連結」が余り検討されることなく 広く用いられており、その結果、2色型色覚は色あいに 乏しい世界であると思われているようです。
これは単に一般の人だけでなく、視覚の 研究に携わっている人にもある誤解のようです。

「無彩度結合」は2色型色覚の動物は中間の色相を認識しない という仮説に基づいており、これは神経の反応で本当にそうか 確認できるはずです。「無彩度結合」は単に表現の話ではなく 神経科学的に間違ったものであろうと推測しています。

本当に"感じている"色というものは推測しがたい のですが、「色相拡張」でシミュレートされるような 色相の違いによる認識は行われているはずです。 なお、このシミュレートでは人間が色相を見分けられるように 赤方向に振っています。しかし、青緑2色型色覚で強い 緑色光を"赤い"と感じると主張しているわけではありません。

 更なる高度認識化

新たに2つの手法を取り入れてみました。

  • 色相の拡大法を少し変更し、高度認識色相中心を定め そこを中心に非線形拡大を行う。
  • 高度認識色相中心のごく狭い範囲の彩度を落とし かつ輝度をあげる。
まず、色空間をどのように受け取るかを示します。

ノンリニア色相拡張
色相中心彩度抑圧

ノンリニア色相拡張では、単純色相拡張に比べ青領域が広がり、シアンから 赤にかけて色分解が細かくなっています。色相中心彩度抑圧では、色相中心 部が白/灰色になっていることが分かります。

単純な色相拡張とノンリニア色相拡張、色相中心彩度抑圧のサンプル画像を示します。

元画像
単純加色
単純無彩度連結
色相拡張
ノンリニア色相拡張
色相中心彩度抑圧

元画像意外の絵は同じ情報の表現の違いに過ぎません。
しかしながら、受ける印象も、あるいはそれにより考えることも 違って来ます。
ただし、この色相中心彩度抑圧シミュレーションでは人の目からみて自然な感じとなるよう に色相中心部を鮮やかな白としていますが、そこまで彩度を落とし 輝度を上げた感じ方をする可能性はあまり高くないと考えています。

 青-緑以外の2色型はどうシミュレートされるか

2色型色覚には「青-緑」の他「赤-緑」「赤-青」が考えられます。

CIExy色度テーブルを見た場合のシミュレーション結果を示します。

元画像
青緑:単純無彩度連結
青緑:色相拡張色相中心彩度抑圧
赤緑:単純無彩度連結
赤緑:色相拡張色相中心彩度抑圧
赤青:単純無彩度連結
赤青:色相拡張色相中心彩度抑圧


 カラフルな風景を2色型色覚はどう見るか

2色型色覚は自然の中の緑周辺の微妙な色合いを細かく見分けるために 発達し、維持されているものです。

自然の中には一部の花などを除いてさほどカラフル世界は広がってはいません が、3色型色覚のわれわれから見たカラフルな世界を2色型色覚で どのように"感じる"ことができるか、シミュレートしてみました。

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カラフルな"不動尊"画像は、 So-net photo の無料画像を使わせていただきました。

(2009/6/12) 葉っぱの写真とそれに関連する記述を載せました。葉っぱの写真は KonicaMinolta αSweet Digital、タムロン18-200レンズで撮影したものです。 ちなみにユリノキの葉っぱです。

(2009/6/12) シミュレータの使い方を載せました。シミュレータ本体も 説明がしやすいように「方式:」などの説明を付け、ファイル指定も ボタンを押す方法から文字入力後のenterに変えました。

(2009/6/13) [色相拡張(ノンリニア)]追加。サンプル画像を幾つか追加。 R,G,Bのチェックボタンの下に黒パネルを置き状態を見やすくした

(2009/6/14) スペクトル図を表示できるようにし、それを用いた 説明を追加。カラフルな画像を使った当初の説明の必要性が 下がったので、隠すようにした。赤のチェックボタンをクリック するよう起動直後の注意書きを付けた。

(2009/6/15) CIExy色度図を次のサイトから取り込みました。
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:CIExy1931.png

(2009/6/16) ノンリニア色相拡張と色相中心彩度抑制の説明を追加しました。

(2009/6/17) タイトルを「2色型色覚の画像表現法;シミュレータ」 から「色相拡張による2色型色覚シミュレータ」に変更。シミュレータ の使い方説明内に方式の説明追加。サンプルファイル名を番号から 内容を示すものに変更(例:test_image3.jpg->leaf.jpg)。用語を 統一

(2009/6/23) 青-緑以外のシミュレーション結果を追加

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2012/6/20:
iPad対策でFlashが無い貧弱なブラウザの場合静止画を 出すようにしました。

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2015/7/30:
Androidアプリを作成しました。
カメラ画像をリアルタイムで確認できます。

次の場所で公開しています。
GooglePlay:色相拡張による高精細知覚2色型色覚シミュレーター


関連記事を ◆2色型色覚の豊かな色彩世界に置きました。
街中で使った様子なども載せています。

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