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◇3色型色覚で得たものは「白」

以前の記事 ◆虹と雲を見る;「3」原色の理由,なぜ「2」では駄目か (旧タイトル"白を見る")

  • 3原色が"3"であるのは極論すれば"白色"を感じるためなのです。
と書きました。

しかし、極論ではなくこれが真実なのかも知れません。

 3色型色覚で追加された新たな「視覚認識回路」

雑誌「サイエンス」の2009年7月号に

 サルが見た色の世界
色覚の進化をたどる
  G.H.ジェイコブス(カリフォルニア大学)
  J.ネイサンス(ジョンズ・ホプキンズ大学)

という論文が出ていました。

論文は2色型色覚から3色型色覚への進化について述べたものです。

この論文に大変興味深い記述がありました。

新たに加わった赤色覚の処理をする神経回路は空間認識のために 元からあったものが転用されたものだというのです。

論文では触れられていませんが、 これは即ち、スペクトルを見分ける意味での新たな"色(赤)"が 感覚的に生み出されたのではなく、"色世界"に全く新たな方向性 が加わったと見なすべきではないかと思うのです。 それが普通の意味の色でなく、「白」こそがその方向性でしょう。
明度+色相だった感覚に彩度が加わったのです。
これまで視覚処理としてあった「明度回路」「色相回路」に別回路の転用により 新たに「彩度回路」が追加されたのです。色相回路に赤が追加された訳ではありません。

本記事は「色覚の進化をたどる」の論文で一切触れられることのなかった 「白」に関するものです。

論文の本筋そのものは説得力に富むものでしたが、一つだけ気になる点 があるので述べておきます。
論文に添えられた、2色型色覚による画像の表現法が 赤を(緑+青)/2で置き換えただけの単純なものを採用 していることです。これは2色型色覚に対して 間違った判断を引き起こしかねない重要な問題です。

このような画像を

こう見ていると
書かれていたが
こう見ている
可能性もある
(論文の写真はこれではなくカエルの写真ですが、こういう色合いです)

2色型色覚の表示法に関しての記事を ◆2色型色覚の画像表現法;色覚シミュレータ に置きました。R=(G+B)/2手法の問題点もここで述べています。

 2と3の大きな違いについて、考えなくてはならないはずのこと

本ブログの記事 ◆虹と雲を見る;「3」原色の理由,なぜ「2」では駄目か では2色型色覚では、

  • 2色の間のスペクトル と白が区別できない
ことを指摘しました。
色の見分けは重要であるため、おそらく、2色の間は色と して認識され、白がないであろうというのが、ブログの 記事の推測事項でした。

残念ながらこのことはほとんど触れられることがないように思えます。

これはとても不思議なことで、2と3の最も大きな違いのはずです。

例えば、青緑2色型色覚で青と緑の中間スペクトルと、白をどうやって見分けるか 、あるいは同一視するかです。

これは当然、根本の問題として考慮する必要のあることです。
なぜ、無視されるのか大きな疑問です。

 はたして2色空間は本当に色に乏しいのか

2色型色覚では色の識別能力が低いと 見なされるようです。
本当でしょうか?

色を最終的にどう感じているかを推定することは非常に難しいこと です。

しかし、脳内の神経回路的に「色」担当部があるなら、そこに感じる色の範囲 があり、目から入った刺激はその範囲にマッピングされるものと考えるのが 順当な考えでしょう。

2色型色覚の世界では、その2色の間に、例えば青~赤の感覚が広がっている のではないでしょうか?

つまり、青-緑の2色型の場合、その人間の感覚では狭い範囲の色が、 青から赤に渡る広い色感覚にマップされ、微妙な違いも色の差として 認識できると考えるのが妥当なのではないでしょうか?

"青"と感じる"赤"と感じると言い切るのは難しいとしても、彼らに とって世界は彩度の極めて高いものだとは推測できます。
われわれが白とみる雲でさえ、彼らの目には微妙でしかし高彩度の色を 持っていると映るのです。
明るさを感じる細胞からの補助的な情報はあったとしても、 白/灰色にいたるまで彩度を落とすことは考えられません。

彼らが虹を見た場合、やはり見えるのは色のある虹なのです。
青-薄い青-白-薄い緑-緑ではありません。

◆2色型色覚の画像表現法;色覚シミュレータ に置いた2色型色覚の表現法に関する記事を読めば、2色型色覚でも 豊かな色彩世界が広がっている可能性が見えるはずです。

 3色型色覚で得たもの

3色型色覚で得たのは鮮やかな白です。

彩度の低い色、パステルカラーです。

認識できるスペクトルが低域に広がったにしても、 得たものでなにより大きいのは、色彩感覚空間の 彩度方向の拡張なのです。

第3の色覚を処理する神経回路が色の回路ではなく 空間認識回路の使いまわしであるという論文が出ている こともこれを強く支持しています。

### 蛇足 黄色

黄色もちょっと怪しい感じがしています。白と一緒に得た色では ないかと。。。。根拠は薄い。

###(2009/6/12)
2色型色覚シミュレータ記事を書いたことに応じ、本記事の 記述を若干手直しした。

###(2015/5/17)
「彩度」が新たに加わったという事を色で強調。

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