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◆特殊相対論、時計突合せ試験

特殊相対論では、2つ慣性系では互いに相手の時間が遅く見えます。

これは矛盾を含まないでしょうか?

互いに飛び去ってしまい結果の確認が不能で設問内では解答の無い 「双子のパラドクス」のような オバカ設問にせず、無矛盾性を確認できるでしょうか?

次のような試験を考えます。

  • 時計を持った観測者AとBが静止状態にあり、その距離は確認されている
  • A,Bの中間点から光で信号を送り、A,Bの時計を合わせる
  • 時計を持った観測者XがA,B間を一定の速度で走りぬける
  • AとXはすれ違うとき相手の時計と自分の時計を記録する
     この時のAが見たAの時計をtAaxとし、Xの時計をtXaxとする。
     Xが見たAの時計をtAxaとし、Xの時計をtXxaとする。
  • 同様にBとXはすれ違うとき相手の時計と自分の時計を記録する
     この時のBが見たBの時計をtBbxとし、Xの時計をtXbxとする。
     Xが見たBの時計をtBxbとし、Xの時計をtXxbとする。
  • A,B,Xはすれ違い完了後、記録した時計の情報を互いに通知する(光による 通知でよく、A,B,Xが改めて集まることはない)

A,Bの観測ではXの時計が遅れている
この実験を行った場合、ローレンツ変換による時間の短縮により、静止系 ABの観測では、Xの時計の進みは遅く

   tBbx-tAax = (tXbx-tXax) ×(1/√(1-C*C/V*V))

   すれ違い時のB自身の時計 - すれ違い時のA自身の時計
             = (すれ違い時にBが見たXの時計 - すれ違い時にAが見たXの時計)
               ×(1/√(1-C*C/V*V))
となっているはずです。

Xの観測でもXの時計が遅れている
では、Xの観測ではどうなるでしょう?

すれ違い時にAとXは互いに近傍で相手の時計を見ます。これは世界でただ一つの 事象でありA,Xの立場は関係ありません。読み取った時計の値は同じであると 考えられます。
BとXについても同じです。

従ってXでの観測でも

   tBxb-tAxa = (tXxb-tXxa) ×(1/√(1-C*C/V*V))

   すれ違い時にXが見たBの時計 - すれ違い時にXが見たAの時計
             = (Bとのすれ違い時に見たX自身の時計 - Aとのすれ違い時に見たX自身の時計)
               ×(1/√(1-C*C/V*V))
となり、やはりXの時計の進みが遅いことになります。

問題はA,Bの同時刻の定め方にある
時間の遅れは相対的であるはずなのに、なぜこのような結果になるのでしょう?

A,BはA,Bの静止系で中心からの光により時刻合わせを行いました。
これでA,Bの同時性は確認されるはずです。

しかし、この時刻合わせを、Xの立場から考えるとどうなるでしょう。

Xから見ればA,Bは移動系となります。

A,Bの中心から出た光はXに対して光速です。

これに対しA,Bは移動していますので、光は図のようにBに 先に到達します。

Bの時計が先に動き始め、Aは遅れて動きはじめます。

つまり、Xの立場で言えば、そもそもA,Bの時計が揃っていないのです。

Xはこのずれた時計の間を駆け抜けます。

(少し単純化して考えると)
仮にA,Bの時計のずれが2秒だったとしましょう。
A,B間をXは4秒で通り抜けるとします。
Aとすれ違うときAの時計が1秒を指していたとすると、 その"時点"で既にBは3秒を指しています。
4秒かけて通り抜けるとBは7秒を指しています。
つまり、Xは4秒のつもりでも、 時計の突合せの結果、A,B世界では(7-1=6=4+2) 秒経っている、即ちXの時間が(4/6)だけ遅れている ことになるのです。別にXが遅くなっている訳では ないにも関わらずです。


A,Bの時間差がそのまま反映されるように考えてみましたが、 その通りでしょうか?Xが4秒かけて移動している間に A,Bは例えば3秒半しか時を刻まないということはない でしょうか?先の例ではBは7秒ではなく6.5秒を 指している。
つまり、A,Bから見ればXの時間がゆっくりすすみ、Xから みればA,Bの時間がゆっくりすすむ。
細かく計算すると、お互いに相手が(1/√(1-C*C/V*V))だけ間延びして いるとことが、この近傍観測時計突合せから矛盾なく導き出される のではないか。

計算してみましょう。
。。。。。。近いうちに
一応ここは、互いに時間が遅れて見える事では矛盾は生じないということで。。。

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証言記録

A,B  Xの時計は遅くなっておりました
X  何言ってやがる。てめらの時計が合ってなかっただけだろうが!
目撃者(参考人)  私は現場近くを歩いていたんですが、3人とも時計の動きは遅かったですよ。 Xの方が遅れ方が大きくは見えました。それとXが言うほどじゃないけど A,Bの時計は確かにずれていました
調停員  参考人に質問します。
AもBもXも、すれ違った時の手元の時計と相手の時計を記録し、 それを元に発言しています。立場や解釈は違っていても記録そのものは一致しています。
あなたは、離れた位置からどのようにして彼らの時計の動きを確認したのですか?
目撃者(参考人)  私は 神の目 を持っています
調停員  参考人は退席してくださって結構です

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「相対論とはつまり真実の水掛け論なんですね」
「そ、そうか、黒澤の羅生門は相対論の暗喩だったんだ」
「いやあ、さすがにそれはないでしょう」
「あの怪しい目撃者は誰だ?」
「科学ジャーナリストだそうですよ」

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