◇クリック廃止論
始めに結論を述べます。
「ボタンを押して直ぐ離す」という狭義のクリックは キビキビした動作を阻害する仕様であり、 「ボタンを押す」という形にすべきです。 そしてその変更は無理なく行うことができます。
クリック廃止仮想キャンペーン
スティーブ・ジョブスが新型MacとWindowsマシンを
並べている。
「さて、みなさん。今この2つで同じソフトが動いています」
「両方ともボタンを押してみましょう」
新型Macは動作を始めるが、Windowsは動作しない。
「おや?Windowsは動作しませんねえ。」
「ではボタンを離してみます」
Windowsがここでようやく動作を始める。
「何ででしょうねえ、もう一回やってみましょう」
やはり新型Macは動くがWindowsは動かない。
押しているマウスが少しずれる。
「ではボタンを離します」
今度はWindowsは動作しない。
「う~ん。これは難しい。私のような年寄りにはとても使えない。
さあ、ボタンを押せば直ぐ動く、Macが切り開くこれまでとは
全く異なる新しくて易しい世界へご案内します」
もちろん、ビル・ゲイツが出てきて、新WindowsとMacを使って逆のことをやってもいい。
スティーブもビルも大分歳だし、そろそろ利用者に器用さを要求しないパソコンを
クリックについての考察
現在パソコンの操作ではクリックを多用します。
クリックとは
クリックとはなんでしょう?
クリックとはボタンを押すことではありません。
クリックとはボタンを離すことなのです。
もちろん、ボタンを離すためにはその前に押さなければなりませんが、 それはあくまで準備であり、クリックではありません。
クリックの問題点
クリックの問題はなんと言っても押しても動かないという
不自然さにあります。
さらに、
操作のスピードを上げられなくなるという大きな問題点も持ちます。
ボタンを離すのを待たねば機能が実施されない上、素早い操作に
よりボタンが離れるまでに位置が変わっていると意図しない
動作や意図しない選択が起こります。
ボタンは押された時点で機能するべきなのです。
なぜクリックがあるか
普通に考えると、ボタンは押すことにより機能すべきです。
なぜクリックなどという複雑な仕様になっているのでしょう?
理由は古い時代のパソコンにはマウスのボタンが1個だけの
ものが存在したことにあります。
ボタンが少ないということは、当然ながら、その少ないボタンに機能を
多重化するため色々な操作が人間に要求される
ことになります。
当時はパソコンはマニアが使うものであったため、不自然で難しい操作も
許されました。
補助キーを使わない場合の操作で現在区別されるのは
- クリック
- ドラッグ
- ダブルクリック
クリックとダブルクリックの区別は、クリックは単なる選択 でダブルクリックは機能実行という分け方があったため ですが、実際には多くのものはクリックで実行される ため、無意味で混乱を呼ぶだけのものとなっています。
クリックでなく単にボタンを押すことに出来ないのか
クリックとドラッグが区別されなければならないのは
どういう時でしょう?
それはクリックでは何か機能が起動され、ドラッグでは機能が
起動されることなく、要素の移動が行われる場合だけです。
クリックが選択を指示するだけの場合、ドラッグとの間に
競合は発生しません。この場合「押して離す」という動作
は全く意味を持っていません。
現状のプログラムで考えてみましょう。
・illustratorやPhotoshopなどのデザインツールの場合。
これらのツールではクリックとドラッグが区別されるべき所
は殆どありません。
画の要素は機能を持つわけではありませんので、ボタンを押されて
選択され、そのままドラッグすれば位置を変えるだけです。
ツールボックスもボタンを押して選択されるだけです。長押しも
ありますが、選択された上で長押しになればよいだけです。
結論として、これらデザインツールには「ボタンを押す」が
あればよいだけでクリックは全く不要です。
・Flashでは、要素はクリックで選択し、ドラッグで移動できます。 ダブルクリックで要素の編集と なりますが、右ボタンで出るポップアップメニューで 編集を選べますので、ダブルクリックは不要です。( 思わぬところで要素の編集モードになるため、 このダブルクリックインターフェイスは不要というより邪魔です)
・Finaleやスコアメーカーなどの楽譜ソフトも、ツールパレット での選択と、選択したものを楽譜上でどこに配置するか というだけですので、クリックは不要です。
・Windowsのデスクトップに配置したアイコンについて
はどうでしょう?
デスクトップのアイコンはクリックまたはダブルクリック
で機能が起動し、ドラッグでは機能を動作させずに
移動します。
ボタンを押しただけでは起動しない仕組みが無ければ
成り立ちません。
例えばALTを押しながらボタンを押すと、アイコンの移動
ができるとか、右クリックでアイコン移動モードにする
といった対処は可能です。
そもそも、起動しようとしてアイコンの位置が変わって
しまったり、アイコンを移動しようとして機能が起動
してしまったりといった間違いが起こります。
各アプリケーションでの対応
殆どのアプリケーションはクリック・イベントを拾っている ところをマウス・ダウン・イベントに変更するだけで、 キビキビとした動きが得られるはずです。
OS/ドライバで対処可能か
各アプリケーションで対応する代わりにOSあるいは ドライバレベルで対応することも考えられます。
ボタンが押された時点で、マウス・ボタン・ダウン・
イベントとマウス・ボタン・クリックイベントの2つ
を発行するように変更するのは簡単なはずです。
ALTなど補助キーが押されている場合はクリック・イベント
の発行を抑えるという形とすれば、現状のアプリケーション
の動作に無理なく対応できるはずです。
クリックという名前は無くすのはもったいない
「ボタンを押す」という二次的表現より「クリック」という
表現は優れています。
この表現を無くすのはもったいないので、定義を
変えるだけにすることが望ましいとも思います。
ダブルクリックは完全廃止です。
### 2008/11/10
「仮想キャンペーン」追加
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