◇シダ図鑑に前葉体を
シダは胞子を作り、
胞子は風に運ばれ、
風に運ばれた胞子は地面に落ち、
地面に落ちた胞子は発芽して、、
胞子は発芽して何になるんだっけ?シダ?
いいえ。前葉体という小さなコケのようなものになります。
前葉体は葉緑体を持つ一人前の植物で徐々に育ちます。
しばらくすると(結構長い:どのくらいだったかは調べます) この前葉体が卵子と精子を作り、雨などの水で 濡れた状態になると精子が泳ぎ出て、別の前葉体の卵子にまで 到達し、受精が行われます。
受精した卵子は芽となり、シダが発生します。
シダは2つの親から遺伝子をもらい、2セットの遺伝子
を持つ2n体です。
シダは胞子を作りますが、この時減数分裂し、胞子は
1セットの遺伝子を持つn体になります。
胞子が芽生えてできる前葉体も1セットの遺伝子のみをもつ
n体です。
前葉体が育ってシダになるのではありません。シダは自分の 遺伝子(ただし1セットのみ)をもつ胞子を放ち、 それが前葉体となるわけで、前葉体は言わば 胞子を放ったシダの分身です。それが、別のシダの前葉体 と交配し次の世代のシダを「生む」のです。
シダ(2n) ~>胞子(n)=>前葉体(n)~ :[卵子(n)+精子(n)]=> シダ(2n)
さて、この前葉体。
シダを語るには外せないはずなのですが、どの「シダ図鑑」を
見ても図(写真)が載っていません。
どのシダの前葉体も似たような姿であるということはある
かも知れませんが、シダという植物の理解を深める意味でも
載せるべきだと考えます。
前葉体を見てどのシダかって区別って無理なんでしょうかねえ。
それでも是非図鑑に。
あれ?
カビも胞子で増えるんだよね。シダの胞子と同じ仕組み?
いいえ。それについてはいずれ。
### 補足:コケ
コケはシダの前葉体がずっと生きているようなものです。
受精すると、索と呼ばれる組織が出来ますがこれがシダ
にあたります。索内で胞子が作られ放出されます。
進化的には「シダが索になってしまった」という説と
「索がシダになった」という説があるようです。
### 補足:話が違う話
生物の話には例外なく例外があります。
シダの2割程度は胞子を作るときに減数分裂せず、
その前葉体は無性生殖的にシダを生むとか。
### 補足:根も葉もない噂
シダは基本的には根、茎、葉からなりますが、
茎だけからなるシダもあるということです。多分本当の根も葉もない話です。
###
高校の生物学の復習じゃん、こんなの。まあ、そうともいえますが、
でも、記憶も定かでなくなってきたので。
"妄想"は以下の蛇足に。
### 蛇足-1
昔考えたSFというか怪獣モノというか。
東京の何箇所かに見たことのない植物が生える。
それはしばらくして胞子を
放つ。地上に落ち水分を得た無数の胞子から虫(動物!)が出てくる。無数の虫は
人を襲い育ち、合体し、数十匹の巨大怪獣に変化する。
やがて怪獣は卵を産む。卵からは植物が生える。
この虫/怪獣がいってみれば前葉体です。
植物と動物が世代交代するのです。
「ガメラ対レギオン」の話を聞いたとき、 やられた!と思いました。
しかし、残念ながら「ガメラ対レギオン」では植物と怪物は"共生" 関係であって、こういう「世代」関係ではありませんでした。
### 蛇足-2
シダと前葉体の関係を考えると、生物にとって「個体」とは
何か分からなくなりますよね。まあ、基本的に植物に個体と
いう概念を当てはめるのは無理そうですが。
20億の仲間がいるといいながら個体の生命という概念を
もっていなかったバルタン星人の話も納得できます。
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