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◆ブラックホールQ&Q、そしてさらに

ブラックホールの説明に関して、本当はこうでなのでははないかと思っている事があります。

  • 事象の地平線の位置は観測者の位置によって異なる
のではないか、
  • シュバルツシルト半径はあくまで無限遠から見た事象の地平に過ぎない
のではないかということです。 これは即ち
  • ブラックホールから物質は出ることができる
ことを意味します。

それともう一つ

  • 事象の地平に自由落下する物体は、物体の時間は止まるとしても、物体の速度は あくまで光速であり徐々に遅くなって地平に張り付いてしまう訳ではない
のではないかということです。

 シュバルツシルト半径はあくまで無限遠から見た事象の地平に過ぎない

ブラックホールでは脱出速度が光速を超えるため光すら外に出ることができない、 と説明されます。
本当でしょうか?

脱出速度

まず普通のニュートン力学レベルで「脱出速度」について考えてみましょう。

地球表面での脱出速度は約11.2Km/sです。
空気や地球の自転、他の天体を考えない場合、この値を超える速度で 放り投げられた物体は二度と地上に戻ることはありません。
逆にこの速度以下で放り投げられた物体はやがて地表に落ちてきます。

ここで注目してもらいたいのは、 脱出速度以下でも少しは地表を離れることができる ということです。

宇宙の果てまで飛んで行くことはできないだけであり、 地面からは飛び上がれるのです。もちろんすぐ引き戻されますが。

人間が地表でジャンプするときに秒速11.2Kmを出す必要が ないことも明らかです。

光速を超える脱出速度、ブラックホール

地球から離れれば離れる程、 重力の影響が小さくなるため、脱出速度が小さくてよい ことも明らかでしょう。
もし、地表が無くて全質量が中心の一点にあるなら、 地表レベルから中心に向かうにつれて、脱出速度も 大きくなります。
どんどん中心部へ向かうとある地点でついに脱出速度 は光速を超えます。

地球は質量が小さいのでこの位置は中心から1cm弱で、 何より質量がその中に納まっているわけではありません ので脱出速度が光速を超えることはありませんが、 質量の大きな天体では空間のある点で脱出速度が 光速を超えることが起こりえます。
これがブラックホールです。

シュバルツシルト半径、事象の地平線

脱出速度が光速を超える位置 を「シュバルツシルト半径」といいます。光速ですら脱出 できないのでいかなる事象もその位置から外に出ること はないので「事象の地平線」と呼びます。

さて、ここで疑問が沸きます。

地表の脱出速度は11.2Km/sなのに、もっと遅い速度で 地表を離れることができます。
ならば、脱出速度が光速を超える位置にいても 光速以下で少しは離脱できるのではないか。
光速以下では無限のかなたに行くことができないというだけではないか。

ブラックホールに関しては本来ニュートン力学でなく 一般相対論を適用する必要があります。

ニュートン力学と異なり相対論では速度は決して光速を 超えることはできません。そのため、計算法は 異なってくるのですが、「脱出速度」の概念はほぼ 同じです。

無限のかなたを規準にすると確かにシュバルツシルト半径は特別 なものですが、シュバルツシルト半径の位置を規準にすると、 重力加速度はかなり強いとはいえ特別なものはそこにはないのです。

シュバルツシルト半径を出入りする

例えば超巨大なブラックホールを考えるとシュバルツシルト半径 での重力加速度が地球表面と同じ1G程度であってもおかし くありません。
重力加速度が1G程度であればロケットで自由にシュバルツシルト 半径の出入りができます。

事象の地平線は消えた訳ではありません。ロケットを規準とした場合 地平線はシュバルツシルト半径のさらに内側に移ったのです。

ブラックホールの中の情報が出てくる

シュバルツシルト半径の内側からは重力場以外情報が出てこないとされます。 しかし、仮にシュバルツシルト半径から少し出る、 即ち脱出速度11.2Kmの地表で小さくジャンプするのと 同じことが出来ればそこから情報を 発信できます。

事象の地平線は事象が直接見えないだけであり、加速する運搬 機構があれば地平から解き放たれる、即ち、ブラックホール内 の情報が出てくるのです。

事象の"地平線"という呼び方は実に優れています。地上の地平線 は、その場所に行けばさらに遠くに移っていて、自分が見ている地 平線を超えることは決してありません。
そして地平線を越えてやってくる旅人は地平線の向こうの世界に ついて語るのです。

空間には加速度属性はあっても速度属性はない

空間には加速度という属性はあっても、速度という属性はありません。 速度は加速度を積分したものに過ぎません。積分路の捉え方により、各位置での"速度" は光速以下のいろいろな値を与えることができます。
シュバルツシルト半径はたまたま無限遠まで 積分した計算結果、速度が光速をこえる半径です。
無限遠を選んでいるため計算式に積分路が見えないため、あたかも 中心からの位置に関連して直接空間属性として与えられる"速度"だ と勘違いされているのです。
シュバルツシルト半径の位置に特に"光速"という属性はないのです。

あるいは

ニュートン力学からの類推で「脱出速度」という 表現をしているけれど、一般相対論的には正しくなく、 空間が歪みのため、そもそもブラックホールの中というのは 外と連続していない。その不連続面が、超単純ブラックホール の場合平坦な空間にマッピングした場合シュバルツシルト半径 の球となる。

従って、光が中から出てこないだけでなく、中にも入らない。

とはいえ、この曲率計算も無限遠を平坦とし、無限遠から重力中心に 向かって曲率の変化を積分していくとシュバルツシルト半径の所 で曲率が無限になるというだけで、どこか近くを平坦として計算 すると別の解が得られます。

  事象の地平に自由落下する物体は、物体の時間は止まるが、物体の速度は あくまで光速であり、地平に張り付いてしまう訳ではない

ブラックホールについて「ブラックホールに落ちてゆく物体は ブラックホールに近づくにつれて時間が遅くなるため 速度が落ちやがてブラックホール の表面に張り付き動かなくなる」という説明が良くなされます。

本当でしょうか。

時間の止まった物体が光速で移動する

確かに物体がブラックホールに近づくにつれ、観測者を規準に した物体の時間は遅くなりますが、観測者との相対距離の変化率、 即ち速度はどんどんと光速に近づいてゆくのです。
最後は時間の止まった物体が光速になりブラックホールに 消えてゆきます。
時計をブラックホールに落とすと、時計の針は徐々に遅く なりますが、落ちる速度が遅くなる訳ではありません。

あるいは

歪んだ空間を行く物体の位置を平坦な空間にマッピングすると どんどん速度が落ちているようになる。
右図のごとく平坦空間へのマッピングでは光速すらどんどんおそくなるように なる。この事を言っているのか?


  雑記

実はこの記事はこのブログのかなり初期の段階で書こうとしていた ものです。

記事の核部分には迷いはなかったのですが、いざ 書こうとすると、周辺の細かな疑問が沸きあがり なかなかまとまりません。
結局本文は、昔、ブラックホールに関する本を読んで 最初に感じた疑問2点に絞りました。
単純素朴、簡単で基本的な疑問です。

本文ももちろん怪しいのですが、以下もっと怪しい 論を散りばめます。
面倒なので「~じゃないかなあ」風な書き方にはしていません が、実のところ全てあやふやです。

事象の地平から出ることは光速を超えたことになるか?

事象の地平線内で放出された光は観測地点には届きません。
事象の地平線から出て観測地点に到達 できたということは光速を超えたという ことになるのでしょうか?
事象の地平は加速しない物体や光に関してのみ言える ものです。
加速する物体、あるいは位置を変えた物体から二次的に放出される 光は別なのです。
本文のシュバルツシルト半径を出入りするロケットの例ではロケット は自力加速しています。
シュバルツシルト半径内では光速以上だったと見なすことも 出来なくはありませんが、何しろ事象の地平の外であり、 直接相対速度を定めることはできません。

時間が止まった物体は有限時間内では二度と現れない?

そんなことはありません。
例えば一旦時間が止まり、回りからの計測での例えば2秒後に再び動 きだしてもよいのです。
時間が止まった側からみて回りが無限大の速度で無限に 進んでしまう訳ではないのです。
無限大の罠とゼロの罠には常に気をつけなければなりません。

特に量子力学を持ち出さなくてもブラックホールからは粒子が出うる。

本文で述べたように、重力場の中での重力以外の加速により 事象の地平を越えることはできます。
ロケットはなくても例えば磁力線に沿って加速する粒子 などが地平を越えてでることは可能なのです。
エネルギーをどんどんと吐き出すブラックホールが 考えられるのです。
こうなると、ブラックホールと呼ぶことに疑問が沸くかも しれませんが、、 直接観測可能な空間はあくまで事象の地平線までであり、 その先は観測者の空間とは隔絶した特別な"穴"で あることにかわりはありません。

中継局は無理

各地点の重力にちょうど抗するだけの加速をする、即ち 静止している中継局を並べて、ブラックホール内の情報 を中継できるでしょうか?
多分できません。
各地点の時間遅延が重なり結局情報は届かないでしょう。
重力加速度を超える加速度が加わることが重要なのです。

特殊相対論と一般相対論(重力による時間の遅れとは)

一般相対論で出てくる時間の遅れは、基本的に特殊相対論での 相対速度による時間の遅れと同じものです。
重力の影響下にある2つの点の間での時間の遅れ具合は、 片方から物体を自由落下させてもう片方に達した時の 相対速度による特殊相対論的な遅れです。
特に力を加えることなく、遅れが生じるのですから、 この遅れを2点間の基本的な空間の性質とするのが一般相対論なの です。

  さらなる妄想

銀河妄想

銀河の中心は多分ブラックホールになっています。
近づくとどうなるでしょう。
事象の地平線はどんどんと中心部に逃げていきます。
質量が本当に中心部に全て集まっているのであれば、地平線 は消えません。
しかし、何らかの機構により質量が散らばったまま存在する としたら。。。
どこかの地点で事象の地平線が消えてしまう可能性があるのです。
根拠のない妄想に過ぎませんが、銀河中心はブラックホールで ありながら、近づくと普通の空間であり特異点も持たないのだ というイメージを抱いています。

宇宙妄想(光速を超える必要のないインフレーション宇宙)

宇宙の始まりの時点。
高エネルギー状態の空間が広がって行きます。この時、 空間的には平坦な重力ポテンシャルが平坦さを保ったまま、 一様に下がっていきます。地点間の距離は広がります。 距離が広がり重力ポテンシャルが下がるというのは 例えば星などから飛び出してゆくのと同じです。
広がる速度になんらかの加速があった 場合を考えてみましょう。
実際にはどの時点でも各地点間の速度は光速を 超えることはないにも関わらず、重力場中での 加速により、光速では到達できない距離にまで 離れることができるのではないでしょうか?
インフレーション宇宙論では空間が光速を超えて広がった としていますが、光速を超えずとも、「変化する 重力ポテンシャル下での重力外の加速」の結果 同等の状況になりうると思うのです。
加速はあったと見なせるのでしょうか? 空間が広がることにより、全ての外部点に 対し距離が広がります。これは重力に抗する 加速と見なすことができると思います。

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昨日見たドラえもんの影響か、ブラックホールが気になる。 それにしても不思議である。 光さえ通さない、いったいどういうことなのか。 ブラックホール 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 んで、僕が一番気になるのは、ブラックホールに落ちたらどうな..... [続きを読む]

受信: 2009年3月20日 (金) 12時59分

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