◇「は」と「が」の格;格助詞論/構文論
「は」と「が」は格助詞であり、どちらも主格(主題格) を表すとするのが本記事の意見です。
「は」を別扱いし、「主格」とせず、そればかりか格助詞とも しない論がありますが、どうやら、その論拠は 「は」が必ずしも動作主体を表さないことにあるようです。
次の文
僕はビールだでは「僕」は話題の主体ではあっても動作主体ではありませんし、 「ビール」「水割り」と同一化されるものではありません。
僕は水割りだ
このため、「は」は主格を表すものではないとするのです。
しかし、主格とされる「が」でも次の文は問題なく成り立ちます。
注文は名詞に膠着し、名詞に論理的意味合いを与える機能は「は」と 「が」に全く差異はないのです。
A君がビールで
B君が水割りだね
「は」と「が」が異なるのは作り上げられる文の位置づけです。
「は」によって作り上げられる文が
それで文章が完結しますが、「が」によって作られる文は
はその文が
一つの命題であり、その命題に関し何かを述べる形を
とります。※
有名な「象は鼻が長い」は「鼻が長い」という命題が象になりたつ
ことを示しています。「鼻が長い」というのは「長い」が「鼻」に
対してなりたつことを示し、そのこと自体を命題として取り上げる
ことを示します。
「が」による命題提示は当然その命題が真偽の対象になるのですが、 「は」の方は陳述であり、直接の真偽の対象とはなりません。
A:「僕がやる」B:「いや僕がやる」というのは正しい文ですが、 A:「僕はやる」B:「いや僕はやる」というのが成り立たないのは 「僕はやる」という文が命題提示ではないからです。「僕はやる」 を命題として否定するには「いや、それは だめだ、僕がやる」 といった形で文全体を示す必要があります。
未整理ですが、格助詞の格を次のように考えています。
- で:道具/舞台格
- に:目的地格
- を:対象格
- は:主/主題格(陳述文を構成する)
- が:主/主題格(命題文を構成する)
参照
### ※
もちろん文は全て「は」で完結される必要はありません。
命題提示「青い」だけで文ですし、命題提示「空が青い」も文です。
陳述「今日は空が青い」ももちろん文です。
### 「が」による命題提示の応用題(どこかで聞いたような)
A:俺やだよ
B:じゃ、俺がやるよ
C:いや、俺がやるよ
D:俺がやるよ
A:えっ、えっ、えっ、じゃ、じゃ俺がやるよ
B,C,D:どうぞ
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