◆本当にそう見えるか;相対論論
相対性論理の一般書やTV番組の説明でいつも気になるのが ローレンツ変換により 「縮んで見える」「遅れて見える」という表現です。
本当にそう「見える」のでしょうか?
いいえ、近づく物体は伸びて見えます
一旦ローレンツ変換は無視して、高速で動く物体がどう見える か考えてみましょう。光速は観測者に対して一定とします。

極めて長いロケットが高速で地球に向かっているとしましょう。
地球から見てロケットは先端からの光と後端からの光 が地球に届いて初めて全体像が得られます。
後端から出た光は、先端より地球から遠いため、先端からの 光より遅く地球に到達します。
後端は先端より遅れて見えます。
このため、高速で地球に近づく長いロケットは引き伸ばされて 見えるのです。
一般書ではこのことを完全に無視し ローレンツ変換だけを拾い「縮んで見える」 と書いています。これは正しくありません。 見えてこそ「見える」なのです。「見える」と書くためには きちんと観測者に光(情報)が到達することを考えなければなりません。
いいえ、近づく時計は進んで見えます
一旦ローレンツ変換は無視して、高速で動く物体がどう見える か考えてみましょう。光速は観測者に対して一定とします。

時計をつんだロケットが高速で地球に向かって飛んでくるとし ましょう。
ロケットが遠い位置にある場合、地球に光が到達するのに 時間がかかります。ロケットが近づくと光はより短時間で 地球に到着します。
このため、高速で近づくロケットの経過時間は地球から は速く進むように見えます。
ドップラー効果です。
あるいは距離による情報伝達遅延
量の変化といっても構いません。月にある時計は約1秒
遅れて見えます。それを地球に持ってくれば遅れは
なくなる訳ですが、この移動中は時計が少し速く進む
ように「見える」のです。
一般書ではこのことを完全に無視し ローレンツ変換だけを拾い「時計が遅れて見える」 と書いています。これは正しくありません。 見えてこそ「見える」なのです。「見える」と書くためには きちんと観測者に光(情報)が到達することを考えなければなりません。
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もちろん、遠ざかる場合は、長さは縮み、時計は遅く「見えます」。 (ローレンツ変換を考慮しない場合です)
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一般書ではローレンツ変換をどう書けばよいか。
「見える」と書かなければ良い。
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ローレンツ変換も考慮するとどう見えるか、時間に関して
は◆ローレンツ変換VSドップラー効果に置きました。
なお、今回問題にしているのは、観測者との距離の変化
で速度の方向が重要です。
ローレンツ変換は速度の方向は関係しません。
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