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◇鉄人28号のリモコン;自律性と制御

「鉄人28号」のリモコン操作については大きな誤解が はびこっているように思います。

鉄人は単純なリモコン操縦ロボットではありません。

鉄人はリモコンロボットとはいえ、根本部は自律型のロボットなのです。

鉄人は破壊兵器として日本軍の秘密研究室で 作られました。

TVアニメの第一話では、制御するための リモコンが作られないまま、鉄人が動きだし、 鉄人は目に入る物を敵味方の区別なく 次々と破壊していきます。

鉄人はリモコン操縦されなくても、歩きまわり、対象物を定め、 戦い、 破壊することはできるのです。

博士たちは慌ててリモコンを作成し、リモコン操作により 鉄人は「落ち着きます」。

鉄人は心を持ちません。敵味方の判断もできません。 鉄人単体で出来るのは、自分を守りながら回りを破壊することだけです。
鉄人は兵器なのです。

鉄人のリモコンの第一の機能は鉄人に破壊すべき対象を示す こと、第二に盾として守るべき対象を示すことにあります。

これにより無意味な破壊を抑止し、自軍のための 働きをさせるのです。
さらに、どれだけの力を用いるかといったことを指示します。
そして、もちろん、鉄人の起動/停止もリモコンで行うことが できます。

鉄人のリモコンで行う操作は抽象度の高いものなのです。
「そいつを倒せ!」「いいぞ!もっとやれ」「よし止まれ」 といったレベルのものです。

鉄人はその程度の命令で十分な自律性を備えています。

正太郎君が行っているのは 細かな操縦をすることではなく 鉄人の「心」の役割をはたすことなのです。

去年だったか一昨年だったか、CGアニメと実写の組み合わせに よる「鉄人28号」の映画が作成されました。
映画の中での鉄人は、操縦者につけられたセンサーに従って 腕を振り回す単なるマニピュレータのような感じに描かれて いました。操縦者が腕を振り回すとそれと同じように鉄人も 腕を振り回すのです。
これは鉄人の根本を否定する描き方です。なぜ、この様な 描き方がされたのか理解に苦しみます。

鉄人について語られる場合、鉄人の自律性を完全に無視している ことが多く見られます。
中には「リモコン操作なので鉄人の目は飾りに過ぎない」などと とんでもないことを言うひとさえいます。違います。鉄人は目で物を見、 戦うのです。

鉄人は単なるリモコン人形ではありません。
リモコン操作も「操縦」というより「指示」というべきかもしれません。 鉄人について語るのは第一話を見てからにすべきです。

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昭和のロボット3題

心を持たない鉄人、人間の心を移植されたエイトマン、機械の中に芽生えた心アトム。

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