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◆雷の電流神話;いいえ落ちます。

誤解

TVなどでよく目にする誤解を生む説明に

  • 雷はプラスに帯電した地上からマイナスに帯電した雲に走る(×)
というものがあります。

電流というものをプラスからマイナスに流れると定義してあるので 「電流は」と限定した場合必ずしも間違いとは言えませんが、雷を正確に表すもの ではありません。

ブラウン管と電流

雷の前にブラウン管について考えましょう。

ブラウン管ではマイナス極(電子銃)から電子を放出し、それをプラスの 蛍光部に当て絵を描きます。

マイナス極(電子銃)から出た電子は途中で、磁界(普通のブラウン管) または電界(たしか、オシロスコープなどは電界で制御していたような 記憶が。。。)で曲げられ蛍光部に到達します。

この仕組みにおいて「蛍光部から出た電流が電子銃に流れ込む」 という説明が適切でないのは明らかだと思います。※※

雷と電流

ブラウン管と同様に雷もマイナスの方が発生源です。
マイナスに帯電した雲から放電 が起こるのです。

ただし、真空中を電子が飛んでいくブラウン管と異なり、 空気の絶縁を破り、空気をプラズマ化しながら進む複雑な 事象です。

マイナスに帯電した雲から、短い放電が起こります。放電 の起こった場所の空気は爆破的な膨張を起こすと同時に 電離しプラズマ化します。プラズマ化した場所は電気が 流れやすく、そこに電荷が流れます。そして、 さらにそこから、新たな放電が起こり、次々と枝が 伸びるように、雷は進みます。
そして地上に到達すると、その稲妻回路 を通し一気に雲の中に溜まっている電荷が地上に流れます。

単に電子の流れが雲から地面へということではありません。稲妻(の 触手)が雲中で発生し、徐々に地上に向かい、まさに「落ちる」のです。 ※※※

プラスからマイナスに流れる電流モデルの適用範囲

プラスからマイナスに電流が流れるとして問題がないのは 準静的な状態のみであり、電荷の流れにそって事象が 発生する放電現象などには適用するのは適切ではありません。

ブラウン管、雷、静電気、放電現象。あるいは帯電した 粒子の流れなどの説明にはプラスからマイナスという 方向は持ち込むべきではありません。

### ※
電流の向きが問題となるのは、磁気との兼ね合いで生じる力です。
磁界の中に電流を流すと力が生じます。
磁力線の向きがこうで、電流の向きがああだと、力がどう生じる かという時に"向き"が関連します。
ただ、これも電流の実体の流れがどうであるかは無関係で、 方向に名前を定めておけばよいだけなの電子の流れの向き と逆であっても実害はありません。
(例えばプラスの電荷を持つ陽子の流れなどにかかる力を 考える場合は実体の"流れ"と電流の向きは一致しています)

### ※※
少し話がややこしくなるのですが、磁界でどのように電子が 曲げられるかはプラスからマイナス方向へ電流 が流れるとしての数式で与えられます。
もちろん、実体の流れとは無関係の"名前上"の方向です。
なお、プラスの電荷を持つ陽子の流れなどでは実体の流れと 電流の名目上の方向は一致します。

### ※※※
大半は地面に到達することなく、空中で終わります。

### 無くても通じるくどい記述を後ろへ移動
回路上の電流に関する記述を後ろに回しました。
----- ここから ----

電子回路上と電流

まず、普通の電子回路を流れる電流について考えましょう。

電池を回路につないだ場合、乾いた河に電池から電子が流れ でていくのではありません。
電池をつなぐことにより、水(電子)のたまった平らな水路に傾き ができ、水路の水(電子)が動くのです。もちろん、水路のマイナス 端に電池から水(電子)が供給され、プラス端が水(電子)を 受け取りますが、あくまで水(電子)は最初から水路にあるの です。

このように傾けただけで動き出す水(電子)がたまっている物質が 金属などの導電物質です。

図では高く持ち上げた側に(-)マイナス記号を付けています。
これは電流の実体が何であるか分かる前に、プラス、マイナスの 名前を付けてしまったからなのです。
名づけた後分かったことですが、 電流の実体というべき電荷を持つ電子は名前の上ではマイナスで、電流 の実体は名前上のマイナスから名前上のプラスに流れることになってし まったです。

しかしながら、通常の回路において、どちらからどちらに 電荷が流れているかというのは殆ど問題にはなりません。※

通常の回路では、電気が徐々に広がるといったことや、 電流の元から流れる先に向かって何かが起こっていくと いうことはないので、電流の向きがどうあろうと 問題はないのです。
水の流れの場合、実体としての水に乗って何かが 流れますが、電流の場合電子に乗って何かを 流すということはありません。流れが"ある"と いうことが重要なのです。

なお、電気の伝わる速さは、電子の速さではなく、傾きが 伝わる速さです。
傾きさえ伝われば、導電体ではそこにある水(電子)は動き 始めます。
電気が通じるというのは電子が到達することではなく、 傾きが伝わることなのです。

---- ここまで ----

### 2009/4/20
地面がプラスに帯電する旨の記述は誤解を生む可能性があるので 図とともに削除。

### 2011/2/5
本日NHK-BS2の「ワンダーワンダー」(だったかな?)で雷の落ちる 状況の超スローモーション映像を見せていました。
本記事の図では空中の中途半端な稲妻を1本しか描いていませんが、 これが複数四方に広がります。 素晴らしい映像で、理屈では分かっていたとはいえ実際に見るのは 始めてでした。
基本的には本記事での説明の通りなのですが、一つだけ気になったのが、 「稲妻が地上に到達した時、 地上から電流が流れるから、稲妻の地上部の方が明るく光る」 と説明していましたが、間違っています。
稲妻は抵抗の"少ない"回路のようなものです。回路内は"ほぼ"一定の 電位を保ちます。例えば地上500mで地上に対し1億ボルトの 電位差があったとして、それが地上10mまで下りてくると、 その10mに1億ボルトの電位差が生じるのです。地上に到達 した時、雲と地上の電位差が解消される形で電荷移動が起こり ます。先ず、電位差は地上との接触部が最も大きく、徐々に 上空に向かって解消されていきます。この為、地上近くが最も 強く輝くのです。
上空より地上付近が空気の密度が高く抵抗が大きいことも発生 する光/熱に関係します。

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