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◆2001年宇宙の旅に学ぶCG照明法

「2001年宇宙の旅」の凄さの一つに照明があります。
さほど手をかけていないCGモデルが、映画を参考にした 照明をあてると、かなりリアルに見えます。

映画を真似た照明を当てたものと、CGソフトの標準の照明の絵を載せます。

先ず、映画の照明を真似たものです。

これが、CGソフト標準の照明(手前側からの平行光線と環境光)だと次のようになります。

少し工夫をしても、標準の平行光線と環境光ではいかにもCGという 不自然な画となってしまいます。 かなり凝ったモデルを作成しながら、このような照明を当て折角のモデル を生かしていないことが良くあります。 説明のために暗い部分をなくしたい 場合を除いては環境光は使わない方が良いでしょう。

別の角度からの画面も載せます。映画にはない角度です。

映画を真似た照明とCGソフト標準のままの照明では、 同じモデルデータをつかっているとは思えない程違いがあると思います。

次のような照明を行っています。

  • 標準の無限遠光、環境光は使わない
  • 太陽光に見立てた大光量の白色ライトを右後方少し遠くに置く
  • 手前には補助光として
    • 少し離れた位置に青いライトを置く
    • 青いライトより近くに白あるいは赤のライトを置く
補助光として色の異なるライトを組み合わせたのは、 球体の立体感を出すためです。(実際の映画の撮影でどのように 行ったかは不明です)

ディスカバリー単体の絵は青と赤のライトを用いています。
この絵はアニメーションの一コマです。
[◆2001年宇宙の旅、ディスカバリー号の構造]
にアニメーションが載せてあります。球体を中心に360度回転します。
回転に伴い青と赤の明かりが分離して見える箇所があります。

照明設計の図を載せます。
十字の線がライトで、線の長さが光量を表しています。三角はカメラです。
太陽光と補助光の極端な光量の差が分かると思います。
太陽光のライトが意外と近くにあると驚くのではないでしょうか?(映画でも 骨部分への太陽光の当たり方を見るとかなり近くにあることが分かります)
ディスカバリー単体の場合の太陽光の位置が少し遠いのはディスカバリー号を回転 させた時に無理がでないようにするためです。

リアルに見せるための照明の工夫はもう一つ行ってあります。
それは操縦室を何となく作って内部で照明を行っていることです。
何が映っているかは分からない程度のものですが、これも リアルさに関係します。
映画風照明で、操縦室を隠したものと、標準照明で操縦室 を見せたものを載せます。

背骨部、襟巻き部はちゃんとモデル化していません。表面の 質感すら与えていません。
後部のロケットユニットなど、潰れた八角柱に過ぎません。
それでも照明でここまで見せることができるのです。
実際に撮影に使った模型は一見したところ余り良い出来では なかったという話も読みましたが、こういう照明をするなら それでもリアルな映像ができるんだと納得しました。

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使ったCGソフトはShade-9です。

### ディスカバリー以外のCG
他にも次の記事でCGを用いています。
◆リモコンキーの空間配置
◆キーの多いミニ・キーボード

### 星追加(12/23)
照明の一環として、星を追加してみました。

### 照明設計説明追加(12/23)

### 逆光の平行光線と環境光の画追加(2008/6/29)

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