◆南に逃げて北から攻める;2001年宇宙の旅のヒトザル
映画「2001年宇宙の旅」は太古の地球、アフリカでの 「人類の夜明け」のシーンから始まります。
そこには、人類への進化の前の段階にあるヒトザルの群れ
が生活しています。
彼らの水飲み場は、切り通しの様な形の、狭く短い谷間に
あります。
谷の北にはエアーズロックに似た特徴的な形の岩山が見えます。
この水飲み場を巡ってヒトザルの2つの群れが争います。
先ず、「群れA」が水飲み場で水を飲んでいます。
そこに北から強い「群れB」がやってきて「群れA」を追い払います。
「群れB」がやってきた方向には"エアーズロック風岩山"が見えます。
「群れA」は南に逃げます。
水飲み場から追われた弱い「群れA」はその後、モノリスに遭遇し、知恵を得、
動物の骨を武器として使うようになります。
武器を使うことを覚え強くなった「群れA」は今度は逆に水飲み場にいた
強い「群れB」を襲います。
この時「群れA」は逃げた南からではなく、北から来ます。
「群れA」がやってくる方向に"エアーズロック風岩山"が見えます。
実は最初映画を見たときは非常に混乱しました。
話の筋としては弱い「群れA」が道具を覚え強くなるということだとは
思うのですが、それなら強くなって現れるときは最初に逃げた方向、南
から現れるのが順当です。
北から現れたということはひょっとしたら、
「群れA」が強くなったのではなく、元々強かった「群れB」が
さらに強くなったという話なのかもしれないと思えてしまったのです。
なにしろ、サルなので、顔の区別が付かないのです。せめて方向で
区別してもらえればと期待するのですけどね。「南の群れ」「北の群れ」
というように。
いまだに、この「南に逃げて北から攻める」演出の意図は把握できていません。
(2008/11/26:主役の強い群れが道具を得てさらに暴力的になったという形で撮影はしたのだけど
編集段階でキューブリックの気が変わり、最初に襲われるのが主役の群れ
であるような編集にした可能性が一番強そうです;サルだし入れ替えても
区別は付かないだろうと)
###
最初のイラストは想像図です。映画では谷間を遠くから捉えた映像はなく、
谷間の中での映像となります。
このイラストは南側から見たものです。
エアーズロック風の岩山は、もう少し西(左)になりますが、隠れて
しまうので説明のため少しだけ移動しました。
### 方位について
この記事では南北という言葉を使いましたが、実際の設定は不明です。
あくまで僕が感じた方位に過ぎません。
何を元に方位を感じたのかは明確ではありませんが、おそらく、「朝」で
あると感じ、その上で太陽の向きで南北を感じたのだと思います。
話の上では夕方かも知れません。その場合、南北は逆です。(僕の場合
一度付いてしまった方位感を修正するのは困難なので、「南に逃げて北から攻めた」
というイメージは変わらないでしょうね)
| 固定リンク