◆性選択進化説の謎;メスの進化はなぜ無視されたか?
孔雀の雄はなぜ生存上不利と思われるにもかかわらず派手な姿に進化したか
- それは雌が派手な雄を好んだからだ
不思議なのがこの説では、
- なぜ雌はそんな雄を好むように進化したか?
普通に考えて、これでは全く説明になってません。
仮に派手なオスが生存上不利だとしましょう。
メスの中に派手好きさに違いがあるとしましょう。(違いこそ進化の原動力)
すると派手なオスを選ぶメスの子孫より、地味なオスを選ぶメスの子孫の方が
生存率は高くなるはずです。
従って、メスは地味好みに進化し、オスも地味にります。
当然です。
(あやふやな記憶ですが)ダーウィンは「選択の圧力として、こんな事も考えられる」
といった形で出しただけだったように思います。
孔雀によって進化論が破綻する訳ではないという意味で、それはそれでいいのです。
問題は後世の人間が何の検証もしないまま、繰り返し述べている点です。
少なくとも「雌はなぜ?」ということくらい考えるべきでしょう。
そういえば、雌が派手な雄を好むという実験を行ったという話も聞こえてきません。
繰り返しますがが、ここで問題にしているのは
「性選択説」において
- なぜ、雌の好みの進化を論点から外すのか
論法そのものの謎です。それを無批判に繰り返す謎です。
「性選択進化の謎;メスはなぜ?」あるいは 「性選択進化説の謎;科学者たちはなぜメスの進化を無視したか」なんて本、出てこないものでしょうか。。
#### 補足(蛇足)
ここからは、話の本筋ではありません。
そもそも、孔雀の飾り羽は本当に生存に不適なんでしょうか?
あの飾りはまるで無数の目玉のように見えます。
羽を広げると、小さく見えた体が突然大きくなって、
しかも無数の目玉が睨んでいるのです。
捕食者にとって、それは、獲物が突然妖怪「百目」に化けたようなものです。
派手な雄ほど敵を撃退できるのです。雌はこんな雄と一緒にいると
助かる可能性があがるのではないでしょうか。
### 言い訳(蛇足)
イラストのメスがですねえ、どうもうまく書けなかったんですよ。カモのように
なってしまいました。ま、あんまり時間もかけられないし。。。。
### 2008/5/6
本日NHKでダーウィンの話をやってました。
クジャクの性選択(性淘汰)の話は出たのですが、相変わらずメスがなぜそのように
進化したかは語られませんでした。("観察では現在のメスは「声」で
選択しているようにみえる"というのが唯一新しい話でした)
「ダーウィンはこう言われた。。。」で考えをストップすることを
「ダーウィンの神化論」と言います。ウソです。
### 2008/12/23
タイトルを「◆性選択進化説の謎;メスはなぜ派手好きになったか?」
から内容をストレートに表す「◆性選択進化説の謎;メスの進化はなぜ無視されたか?」に変更。
### 2008/12/29 どう考えているかを補足
どのように考えているかを付け加えておきます。
進化するためには生存するだけでなく繁殖しなくてはなりません。
繁殖のためには雌雄が出会い、同種を認識し、他種を排除できなくては なりません。
雌雄が出会うためには、生活密度を高める、目立つ姿に なる、認識力を高めるなどの必要があります。
生活密度を高める場合は餌の確保が 難しくなり、目立つ姿の場合は捕食者から狙われやすくなる、あるいは 獲物に逃げられやすくなるという問題が生じます。
これらのバランスがとれる形で進化します。
一般に目立つ姿になるのが雄であるのは、生殖に関連し雄の負担が 小さいためです。雌雄どちらかが目立てばよいので、余裕の ある側が「目立つ」ことにエネルギーを注ぐことになります。
進化に於ける 選択圧として「生存競争」と「繁殖競争」があり、「繁殖競争による 選択圧」を「性選択」と呼ぶのは間違いではありません。
しかし、これを「雌の好みによる雄の選択」と解釈するのは 誤りです。自然による複数世代に渡る選択圧なのです。 「選択」という言葉が、ダーウィンを継ぐ科学者たちを 迷い道にさそってしまったのかも知れません。
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(2009/7/15) 補足文の一部に色を付け論旨の把握をしやすくした。
(2010/5/11) 好みは無関係であることを単独記事
◇可識別性と生存負荷度による形態進化モデル
にした
(2010/6/23) Oh!Darwing(オーディオ)追加
(2011/5/18) Oh!Darwing削除:IE9では
オーディオがあると、しばらく完全に固まるので、
意味の無いオーディオは入れないことにした。
IE9は本当によく固まる
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